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不老不死 : 火の鳥を探して

 

今回のテーマは”不老不死”。

何も特別なことをしなくても長生きする人がいる。優れた遺伝子、強い免疫力など偶然がいくつも重なって長寿になる人がいる。

だが、一度しかない人生をそんな偶然に身を委ねる訳にはいかない。そこで、どんなことをすれば、100歳を超えても、見かけの若さと元気を保てるのか考えてみた。

天才バカボンのパパが42歳であることを考えたら、むかしの42歳といまの42歳は全然違う。100年前、明治時代の平均寿命が44歳。現在が85才。約倍生きられる。そう考えたら、これからの医療の進歩と理解によってはもっと健康で長生きできるはずだ。

高齢化社会で大切なのは病に対して守りから攻めの姿勢をとることである。
まず、長生きの前提として、病気にならない(未病)ために対処していくべきなのだ。

病気は、過去の清算である。具合が悪い→病院で待つ→辛い治療をする、という負のスパイラルに対して、未病は、自分の状態を知ること(ゲノム解析、MRI、腸内フローラなど)によって病気を防ぐことができる。

病気でもないのに、こんな検査するのは嫌だ!という人はこのあとのコラムを読む必要はないかもしれない。でも、関心ある人のために、話を続ける。
少し専門的な話になる。

 

1. まず、血液から遺伝子情報を調べよう!

「ミルテル検査」といって、病気になる前・病気が手遅れになる前に、遺伝子レベルでチェックできる血液検査がある。大きくは2つある。

隠れている病気のリスクがわかる「テロメアテスト」と、がん・認知症のサインを見逃さない「ミアテスト」を実施しています。

「テロメアテスト」(未病検査)
あなたの遺伝子の「強度」と「疲労度」を測定し、加齢に伴う病気のリスクがわかる。
検査結果を基に、生活習慣の改善を図ることで、疾患を予防することを目的としています。

近年ではアンジェリーナ・ジョリーが「ミアテスト」(早期発見検査)した結果、かなり高い確率で乳がんになることがわかり、乳房を切除した。発症しないでわかるのが最新の予測医療なのである。

ちなみに、この検査はフルセットでやって20万円ちょっと。
https://soba-cli.com/treat/mirtel.html

 

2. 死の要素をなくしていく

第1位 ガン(腫瘍) 373,178人、
第2位 心疾患 204,203人
第3位 脳血管疾患 109,844人
第4位 老衰 101,787人
第5位 肺炎 96,807人

今年は、新型ウイルスコロナの流行により、高齢者の風邪→肺炎が重篤化し死亡に繋がるケースが増えたが、肺炎は死因の5位。

ガンを克服することが一番の長生きに直結する。前述のミルテル検査から早期発見→治療が一番の防御となる。人間ドックの血液検査やMRI、エコーレベルでは、ガンの100%早期発見は難しいだろう。だから定期的な「ミルテル検査」が必要。

第2位、3位の心疾患、脳血管疾患は、いずれも動脈硬化が原因。それを促進するのが肥満をはじめ、高血圧、高血糖、脂質代謝異常など。すでに血圧や血糖値、コレステロール値、中性脂肪値などが高めの人は、食事療法と運動と睡眠、ストレスフリーな生活を守るしかない。

健康な体とはなにか?身体が強く(ジム、ランニングなどのエクササイズ)、精神が強い(禅、サウナ)ということが前提となる。それ意外に気をつけるべき要素は、免疫力が高く、腸が丈夫という2つの要素が大事になってくる。

3. まず手始めに「自己リンパ球」療法で免疫力をあげる!

これは、50代から急激に落ちる免疫力を高めようというものである。

リンパ球とは、血液中の白血球の成分の一種で、チームを作ってウイルスなどの外敵や腫瘍などの異物を攻撃する。さらに、体内に侵入した異物を記憶し、それが再び侵入してきたときには、やっつけてくれる。リンパ球の多さ=免疫力が高いといえる。

人の免疫力のピークは20歳で100とすると、50歳すぎると半分の50くらいになる。
免疫力とは、自分の体を防衛する兵士の数なのである。兵士が少ないと、風邪をひきやすく、ウィルスに侵されやすく癌も撃退できなくなってしまう。体内に悪い奴が来た時に、兵士が多い方が良い。という訳で、こういう施術のことを”予防医療”という。

この「自己リンパ球療法」は、20年以上前から初期ガン患者の治療として使用されてきたものだ。近年では、健康体にも適用されるようになったのは、ここ数年で、厚生省がクリニックに認可をはじめた。

やることは、指定クリニックに行って採血するだけ。
採血から2週間後に自己リンパ球が専門の業者で1000倍に培養されてくる。その培養された自分リンパ球を毎月自分に点滴で戻す。

 

下記にあるマンガは「はたらく細胞」(著者:清水茜)からの引用で、体内細胞を擬人化したコメディだ。体内にウィルスなどの異物がはいると、リンパ球の中の「キラーT細胞」というウィルスの殺し屋がやっつけてくれる。この殺し屋の数が免疫力の高さを意味する。漫画、わかりやすい!

 

 

4. 再生医療の可能性

こういう治療全般のことを「再生医療」という。自らの体を自らの能力によって再生する医療のことだ。ちなみに、トカゲの尻尾切り、というけれど尻尾が生えてくるのに必要な遺伝情報は、326個ある。

これらの遺伝子の役割が解明され、培養され、移植されると、皮膚や血管、筋肉、骨などが再生できる。山中教授が発見したiPS細胞である。

「再生医療」には、三段階の進化が必要である。
組織幹細胞(脂肪幹細胞)→ iPS細胞 →ES細胞

ヒトのゲノムは37億の塩基によりプログラムされている。近年は、ガン患者の膨大な遺伝情報からガン部分のゲノムをAIが解析し、自分にあったガン治療ができる。 (プレシジョン・メディシン)

プレシジョン・メディシンとは、ゲノム解析に基づき個人に合った精密医療(あるいは個別化医療)をすること。それぞれの人の遺伝子変異などを詳しく解析して、その結果に応じた適切な薬を処方する。

2019/10/22号「NEWS WEEK」では、ゲノム解析をAIでチェックさせることで癌の原因DNAを突き止め直す薬をつくる試みが紹介されている。
http://www.amazon.co.jp/dp/B07P8LHS1N

ちなみに、ゲノムとは、37億の塩基対からなるヒトの設計図である。そこに2億個の遺伝子がある。DNA情報が1式(2セット)含まれている状態をさす。遺伝子はDNAの一部をさす。遺伝子情報の入ってない部分もある。

ゲノム > DNA > 遺伝子

実際、癌とは細胞内のタンパク質が問題で、免疫力が弱ると、細胞を変異させ悪いコピーを増殖させる。

薬の標的は、遺伝子ではなく、タンパク質なのだ。そのタンパク質のパターンの事例をひたすらAIに読み込ませ、悪い動きを封じるための処方をみつけていく。だから、一律の放射線治療がみんなには効かない。遺伝子検査を癌の標準治療にすべきなのだという。

先日、ノーベル化学賞を受賞したゲノム編集(クリスパーCAS9)は、ゲノムを自在に編集することによって、再生だけでなく、改良品種をつくることも可能になった。

 

5. さて、若さを保つ医療とは?

まず、美容の分野で注目されているのは。「自己 幹細胞 培養上清液 治療」である。漢字が多いので文節ごとに区切ってみた。

これは不老の切り札(究極のアンチエイジング)と言われている。
「自己」(自分)の「幹細胞」(骨髄や脂肪組織の中に存在する間葉系幹細胞で、さまざまな細胞に変化する能力を持つ)を「培養上清液」(細胞成分を取り出して作られた上澄み液)としてつくりだす。

治療の方法は、お腹の脂肪を10~20ccほど採取し、組織に含まれる幹細胞を培養し、それを数ヶ月に一度点滴で体内に戻す。

効果としては、細胞を若返らせることで、皮膚や血管を強くする効果がある。
これらの治療は、元気な人にとって他の病気のように「良くなった」という実感はない。保険もきかない。健康であり続けるための予防医療は将来の自分に対する投資と考えられなければやる意味を見出せないだろう。「自分はすごく元気だから必要ない」と思っている人にとっては何もしなくても同じ”元気”なのである。しかし、ガンは予告なくやってくる。老いも同様にやってくるが、できるだけ若さを保ちたいと思う向きには、リンパ球を増やし病気にかかりにくい免疫力を確保し、幹細胞を培養し肌や血管を強くすることで若さを維持できるのだ。

クリニックの中には、自分(自己)のものではない幹細胞を注射するようなところもあるが、わたしはお勧めしない。

コストは、クリニックによって違うが、リンパ球が年間200-500万円。ちなみに、10年前は2000万円くらいの治療費だったらしい。一般化してくれば1/10くらいまで下がると思う。
幹細胞培養上清液は、現在は300-500万円くらい。これも認知と実績によって今後下がっていくだろう。

 

6. 究極の若返り方法「テロメア」

エリザベス・パリッシュって人を知ってますか?

 

この人は、家系的に短命で、ご自身の息子さんが5歳のときに糖尿病になった。で、早死にするわけにはいかないと、シリコンバレーで起業して不老長寿の研究会社(BioViva USA)をつくってお金を集めた。発がん性のリスクがあり、米国では出来なかったため自らが実験台となってコロンビアに渡り治療した。ちなみに、治療費は1億円くらい。うーん、これもまだお高い!

治療は遺伝子組み換えウイルスの静脈内注射。その結果、見事に成功し(いまのところ副作用はでていない)、48歳なのに、中身は30歳になった。

治療内容は、老化の原因となるDNAの中のテロメアを伸ばすものであった。
DNAは人間のすべての細胞を形作る基礎で、細胞分裂により代謝し定期的に分裂している。
そのDNAの先端にあるのがテロメアだ。テロメアは染色体を保護する役目で、なければ、DNAはダメージを負い細胞分裂することが出来なくなる。で、細胞も老化するということになる。

テロメアは細胞分裂の度にほんの少しずつ短くなる。
そしてある一定の長さ以下に短くなった時、細胞はもはや分裂出来なくなります。これが老化になるという訳だ。

テロメアは年齢と共に短くなるだけではなく、ストレス、喫煙、肥満、運動不足、不健康な食生活等によっても短くなる。

テロメアの長さは生物学的な若さを表している。年齢に伴う免疫力の低下もテロメアの長さに関係している。ちなみに、 エリザベス・パリッシュの施術前のテロメア長は、6,710塩基対に対して、術後は7,330塩基対となった。これは20年分の拡張になった。白血球が若返っているわけだ。ちなみに、テロメア長は5万円くらいで調べられる。ぜひ、やってみてください。

で、その注射ほど効かないが、テロメラーゼと呼ばれる酵素は、テロメアに大きく関わっており、短小化を遅らせたり、止めたりするということを可能にした。
また、最近の研究により、逆にテロメアを長くするというようなことも可能になってきた。

テロメラーゼの活性化により、下記の事が可能になってきました。

・テロメアの短い部分を特定し、テロメアの長さを修復し、短小化を遅らせる。
・これにより再び細胞分裂を呼び起こし、細胞自体を活性化させる。
・テロメアの長さを保ったり、また長くしたりすることが可能。

テロメラーゼは人間の体内にあり、その量は年齢とともに減少していく。しかし人間の細胞をテロメラーゼ酵素にさらすと、細胞は老化の速度が遅くなり、再び細胞分裂を開始する。長くなったテロメアは細胞分裂における遺伝子の発現を若い形へと変え、その結果細胞の機能を若くするということにつながる。

2009年のノーベル医学生理学賞は、テロメラーゼを発見したテロメア研究者に贈られ、テロメア研究のさらなる発展に期待が高まっている。

 

 

7. さて、もっと身近な健康維持

腸内フローラ(腸内細菌)って言葉、最近よく聞くよね。
腸は「第2の脳」って言われているが、そうじゃない。脳が「第2の腸」ってくらい腸は長生きに関係している。
まず、腸内フローラがどうなっているか調べよう。(2万円くらい)

主要な腸内細菌(乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸性生菌、エクオール産生菌など)の割合がわかる。そのことにより、腸の多様性(バランス)がわかる。(太りやすい菌の有無だけではなく、病気のリスクを少なくする方法がわかる)

腸内フローラを整えると、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことができる。
冷凍した生きたビフィズス菌を飲むなどの対処ができる。

わたしは、漢方による腸の活性化をしている。人によって漢方は調合を変えられるので、自分に最適な腸環境を整えられる。この辺りは、まずは腸内の状態に応じてカウンセリングしてもらってね。ものすごくたくさんの対処法があるから。

8. まとめ

不老不死と書いてしまったが、結局 人間はいつか死ぬ。アーユルベーダ的には126歳まで生きられるということだが、寝たきりじゃなく、元気溌剌長生きしようと思ったら、ストレスためないで、思いっきり好きなことやるのが一番。

たくさん食べて、たくさん寝て、たくさん運動して、たくさん旅をして、たくさん笑う。そうできないことは多々あるけど、禅の精神で”いま”を大切にして瞬間瞬間を生きる。昨日のことや明日のことを極力考えない。

そうすれば、本当の寿命が80歳でも、勢いで100歳くらいまでは長生きできると信じている。

ここに書いたのはあくまで福田の実感であって、人それぞれの長生きの戦略があっていい。でも、大前提になるのは「長生きしよっ!」という強い意志を持つことが大事な気がする。

祖父母の死際に孫がくるまで死なないのか?科学では解明できないけど、そこには本人の強い意志があるのではないか?

“どうしても したいことをする!”

その魂こそが不老不死のエンジンなのかもしれない