人気クリエイター4人が「合作」してみた! LINEクリエイターズスタンプ「ホメゴロシ屋」制作秘話
人気クリエイター4人がコラボしたチーム「ミックスナッツ」によるスタンプ「ホメゴロシ屋」が、12月17日(水)にLINEクリエイターズスタンプに登場です!
「ホメゴロシ屋」は「相手を褒めて褒めて褒めまくる」スタンプ。全40種類を4人が担当する「合作」スタンプです。
作ったのは、キタイシンイチロウ(デビルロボッツ)、こなつ、アートジャンキー(AJ)、タケヤマ・ノリヤの4人。海外でも人気のクリエイターです。
アイデアはどうやって生まれたのか?制作秘話は?スタンプを作るときのポイントは?座談会を独占取材してきました。
■「4人で40個のスタンプ」登場秘話
キタイ:本音を言うと……1人で40個、描くのが嫌やった!(笑)40個描くのって、本当にしんどい。それやったらチームを組んで、1人10個でやったほうが楽しいし面白い。まず初めに、みんなでスタンプのテーマ案を出し合った。
タケヤマ:いろいろ企画が出たけど、結局キタイさんのアイデアの「ホメゴロシ」に決まった。「褒める」に特化したスタンプって、使い方は偏るかもしれないけど、他のスタンプとかぶりづらい。だから「ホメゴロシ」に落ち着いた感じです。
キタイ:40個の中で多少、絵柄やノリにみんなのばらつきがあったほうが面白い。スタンプを買ってくれた人が、「お得感」を感じてほしかったんです。同じ値段でこんなにいろいろなスタンプが楽しめて、40個全部使えて、お得だなー!って思ってほしい。
こなつ:やろうと思ったのって、いつごろからでしたっけ。
キタイ:LINEクリエイターズスタンプが始まる!ってなったころ。2014年の3月くらいかな。飲み会の席で、わりとノリで決まった。本格的に動き出したのは5月ごろ。
タケヤマ:まだクリエイターズスタンプがこんなに盛況になるって知らなかったよね。いま、クリエイターの知り合いはほとんどみんな出そうとしてる。この4人をチョイスしたのはキタイさん。独特のプロデュース能力ですよ(笑)。
キタイ:今までなかったような組み合わせにしたいなと思いました。はっきりした理由があるわけじゃなくて、感覚ですね!
■テーマ出し、マーケティング……スタンプを「合作」するとは?
アートジャンキー(以下AJ):テーマが決まったら、セリフやキーワード出し。1人20個くらい出して、その中から40個を抜粋して、ラフ案を作りました。こなっちゃん、たくさん案を出してたよね。
こなつ:中学生の甥っ子にいろいろ聞いたんです。何が流行ってるとか、どんなものが使いやすいとか。マーケティングしました(笑)。
タケヤマ:ふだんのクリエイター活動とはちょっと違う、アニメスタジオみたいな分業スタイルだった。4人ともそれをちょっと意識していて、いつもと作品のノリが違うかも。
キタイ:ああー、確かに。もともとのデビルロボッツのファンだけじゃなくて、一般のサラリーマンにも使ってもらいたい。だからそういう人たちにもウケるように、ちょっと違うタッチを意識してましたね。
タケヤマ:もちろん、みんないろんなメディアに合わせたスタイルで描いているけど、LINEって特殊。特にクリエイターズスタンプはアイデア勝負だよね。
こなつ:4人の中で「かわいい担当」だと思って描いてました。
キタイ:ずるい。ネコはやっぱりかわいい。LINEスタンプでも人気ありますよね。
AJ:俺はこのスタンプ、アメコミの『ファンタスティック・フォー』みたいだなと思ってる。チームなんだけど、バラバラ感があって、でもバランスが取れている。こなっちゃんがかわいい担当なら、俺は怪力担当です(笑)。
キタイ:そうすると、タケヤマさんが紅一点の女子担当。
タケヤマ:うん。テーマが、「褒める」×「殺し屋」。だからサングラスを頭に乗せた女盗賊みたいなイメージで、殺し屋スタイルにしてみました。
AJ:そういえば、こなっちゃんのネコも殺し屋なの?
こなつ:着ぐるみの殺し屋です。中に人間がいます。
タケヤマ:知らなかった……新事実だ。中、どういう人がいるんだろう……?
キタイ&AJ:中にいるの、タケヤマさんじゃないですか?
■個人スタンプ、「合作」スタンプ、どこが違う?
キタイ:一番時間がかかったのは40個のネタ出し。決まったあとは早かった。実際描いたのはひと月くらいじゃないかな。10個だからできるんですよ。こなっちゃんやAJくんは以前1人でLINEクリエイターズスタンプ出してたけど、比べてみてどう?
こなつ:1人だと、まず40個がなかなか思いつかない!日頃生活しながら、「あっ、こんなスタンプがいい!」ってメモするんですよ。そうやってアイデアを貯めて作る。
AJ:セリフやネタが浮かんでも、それを絵にするのが難しい。「すごい」とか「さすが」を言うとき、普通の生活だと大きな動きをすることってないじゃないですか。でもスタンプにするときは絵として大げさな動きをつけなきゃいけないし、同じような言葉でも違う動きをさせなきゃいけない。
こなつ:ああ、大変でした!描いてみると全部同じようなポーズになってしまう……。
AJ:そういう難しさは、10個だとすごく楽になります。40種類違う動きを見せるのは結構大変。俺、改めて『藤子不二雄漫画家入門』を読んで勉強しました。
キタイ:みんなのラフを見た時、「さすがだな」と思ったよ。いい意味でばらつきが出ていて、すごく刺激になる。今回は、ソニーデジタルさんにもたくさん意見を出してもらったので、それもあってちゃんとしたものに仕上がってる。20代や女性の意見を聞いてもらったり、構図に関して細かくアドバイスしていただいたりしました。
■笑顔、モチベーションアップ!「褒めること」のパワー
キタイ:僕、基本的に貶さないんですよ。褒める。「それ、いいやん」「ええやん、ええやん」が口癖。だから褒めるスタンプも「ええやん」!
AJ:俺は、女の子はよく褒めますね!(笑)「かわいいねー」とか。
キタイ:「いつもかわいいなー」、よく言うよね。
AJ:父親の教えなんです。「女性を褒めなさい!」。照れくさそうに笑う顔、いいですよねー。
こなつ:「褒める」とは違うかもしれませんが、私も好きなクリエイターさん、尊敬するクリエイターさんには「ここが素敵です!」って伝えるようにしてます。
キタイ:僕がよく褒めるのは、学生かな。僕もタケヤマさんも学校で生徒を教えたことがあるけど、とりあえず褒める。なにもなくても、褒められるようなところを見つける。若い子は褒めないと伸びない。途中で嫌になっちゃう。
タケヤマ:自分が若いときも、先生が何気なく言った批判や怒りに、傷つくことがあった。心がまだまだむき出しなんですよね。だからなるべく、いいところを褒めてあげて、褒められないところは「まだできていないところなんだ」と思ってもらいたい。甘やかすわけじゃないけど、いいところはとにかくいいと素直に認める。お世辞やおだてじゃない。
キタイ:そうすると、やっぱり受け止めて変わっていく感じがする。
タケヤマ:うん。どこもすごくなろうとしても、なかなかできない。経験や時間が必要になる。まず、褒められた自分の「いいところ」に気づいて、そこを突破口にしてほしい。
こなつ:タケヤマさんはどんなふうに褒められると嬉しいですか?
タケヤマ:やっぱり、商品を買ってくれたり、ダウンロードしてくれたりすることは、プロの作家にとってのに「褒め」ですね。自分のお小遣いから手に入れてくれるというのは、本当にありがたい光栄なこと。そこに大きな感謝と責任があります。
■「ミックスナッツ」のススメ
キタイ:「ミックスナッツ」の「お得感」は定期的に、シリーズとして継続していきたい。ゲストでお笑い芸人を呼ぶのもいいかもしれない。コンセプトやセリフを考えてもらう。……あ、今思い付きで喋ったけど面白そう。
タケヤマ:違う人が入ってくることで、スパイスにもなるし、また違う人が見てくれることにもつながるよね。
キタイ:あとはやっぱり、日本だけじゃなくて、アジアにも向けて発信していきたい。あえて「海外向けに!」と意識して作らなくてもいいと思う。日本の文化が好きで買ってくれているから、日本に向けて作れば、海外でも好かれるものになる。世界中、クリスマスはホメゴロシで決まり! 年末年始も、ホメゴロシ!
タケヤマ:褒めることで世界平和! もしさ、「合同でスタンプを作る」っていうのを他の人に勧めるとしたら、どういうアドバイスをする?
キタイ:僕たちみたいな形じゃなくても、テーマやネタを考える子と、絵を描ける子が組んでもいい。若手にたくさん出てきてほしい。チームでコンセプトから作る経験は、社会に出ても役立つし勉強になる。「何が流行っているのか」「どういうものがウケるのか」って研究もめちゃくちゃ重要。
AJ:「チーム」っていうのはすごく大きい。絵を描く人って大体、個人競技が得意。中には協調性がなかったり、コミュニケーションが苦手だったりする人もいる。それでもみんなで協力して、なおかつ楽しくできるようにやるのが一番いい!
こなつ:みんなでアイデアを出し合うのは、楽しかったですね!アイデアは本当に大変な部分。そこをどんどん出していくっていうのはすごく面白いので、他の人にもぜひやってほしいです。
タケヤマ:真剣に、でも楽しくチームでやるから、それぞれの力をうまく出し合える。「褒め合いながら」やっていくのがオススメです!
ミックスナッツはまだまだ続く!(2014年12月8日(月)、デビルロボッツ事務所にて)
(撮影/佐伯航平)
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