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ポストコロナ時代の新しい秩序を考える

 

「彼らにとってはごく小規模な事業にすぎないのだろうが、地球にとっては経験したことにない大きな出来事だった。
いっさいの予兆のないまま、まるで地上に雨が降り注ぐように、宇宙の果てから巨大な宇宙船の群れがやってきたのだ。」

これは、作家アーサー・C・クラークが35歳のときに初めて書いた長編小説「幼年期の終わり」(1952年)の一節である。
宇宙の高度な知的生物が住む国「オーヴァーロード」から侵略者がやってきた。総統であるカレランは、瞬く間に世界を制覇。それは地球人を殺戮し滅亡させるのではなく、人種差別の地域には、日蝕を起こして太陽を止め、動物虐待する者には、同じ痛みを与えた。
その施策によりいっきに人類は平和になったのだ。

彼らの正体も目的も謎のまま、物語は進む。物語は意外な結末を迎えるのだが、興味のある方は、小説をお読みください。非常に考えさせられる結末です。

わたしは、この70年前に書かれた小説の宇宙人が新型コロナウイルスのことに思えてならない。

皮肉なことに、ウイルスのことで地球はかつてないほどCO2が激減し美しい惑星に戻りつつある。

総統カレランは云う。
「きみたちが太陽系の惑星を支配する日はいつか来るだろう。
だが、人類が宇宙を制する日はこない。」

ポストコロナ時代、我々は単に前に戻ろうとするのではなく、地球に優しい新しい秩序を作っていかなければならないと思う。

 

福 田  淳

 

参考:

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫) アーサー・C・クラーク
https://www.amazon.co.jp/dp/B00M968K1Y

 

新型コロナウイルスの影響で、温室効果ガスの排出量が世界的に激減している
https://wired.jp/2020/03/26/coronavirus-emissions/

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