現代アートチーム・目[mé]の巨大気球作品「まさゆめ」
今朝 起きてSNSをみていたら、現代アートチーム・目[mé]の作品「まさゆめ」が、代々木公園に突如現れたと知り午後見に行ってきた….
あゝ休憩中で空気抜いて置いてあったので、もらい画を引用させてもらう。上がっているの生で見たかったなぁ。
この巨大な顔は、目[mé]のメンバー荒神明香さんが、14歳のときにみた夢から着想されたらしい。「この大変な状況のなかで実現できたことは奇跡。あらゆる意味や合理性を剥ぎ取った一瞬をつくり出すためにみんなが動いた。この景色を見てもらい、想像する力につながればいいと思う」
この作品を見て、安部公房の短編「笑う月」(1975年)を思い出した。著者が小学生の時に繰り返し直径1.5メートルくらいの花王石鹸のキャラクターのような笑う月に追いかけられる夢をみて、恐怖を感じた。大人になってそれを思い返すに「夢は意識されない(創造力)の補助エンジンなのではないか」と考えるようになる。安部公房にとって、笑う月の身元や正体はどうでも良くて、その場で生け捕りにする感性が大事だと考えた。
荒神さんが言ってる「剥ぎ取られた合理性」と符合する。顔は、人間のアイデンティティだが、一方で現代ではディープフェイクや SNSによって顔は無名化されている。誰もが誰でもいい取り換えのきく顔になっているのだ。
ある朝、突然 巨大な顔が宙に浮かんでいるだけで、すべての理屈が吹っ飛び、アートが堂々と世の不条理さを表現していたのは痛快だった。
いまは、ただ猛烈に創造的でエネルギッシュな発想をもつべき時なのかもしれない。
公益財団法人「東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京」(東京都)が主催するTokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13の一事業。
◆参考
「ほぼ日」千葉市美術館の謎めく展示で話題になったアートチーム目[mé]が、今度は東京の空に「巨大な顔」を浮かべるらしい。それも予告なく、唐突に。いつ? 誰の顔? ものすごーくドキドキする試み!第1回「中学生のときに見た夢が。」
書籍「笑う月 (1975年) 安部公房