中国AI「MiniMax」が、コンテンツ産業を変えようとしている。

中国の生成AI、かなりすごいところまで来てる。
上海のAI企業「MiniMax」が開発した動画生成AI「H3」。
でも、この会社以上に面白いのが創業者だ。
閆俊傑(Yan Junjie/イェン・ジュンジエ)、36歳。
1989年、中国・河南省の小さな地方都市で育った。海外留学経験もない。
東南大学で数学を学び、中国科学院でAIの博士号を取得。その後、清華大学で博士研究。
当時の夢は、世界を変える起業家ではなかった。
博士課程の頃に憧れていたのはIBMのJavaエンジニア。目標年収28万元、現在の日本円で約670万円だったという。
転機のひとつが2014年。
Baidu(百度)研究院でインターンをした時、彼はそれまで見たこともなかった巨大なGPUクラスターに出会う。
大量のGPU、大量のデータ、大きなモデル。
計算資源をスケールさせることでAIの能力そのものが大きく伸びることを目の当たりにして、
「AIは研究室の中だけのものではない」
と実感する。
その後、中国AI大手SenseTimeへ。6年以上在籍し、最終的には副総裁・研究院副院長まで上りつめた。
日本でいえば、執行役員クラスでありながら、AI研究開発部門のNo.2を務めるようなポジションだ。
ところが、AI業界のど真ん中にいるうちに、彼は当時のAIの方向性そのものに疑問を持ち始める。
当時のAIの代表格は顔認識や画像認識、AlphaGo。
確かにすごい。
でも、
「これだけ多くの人とお金と計算資源を使ってAIを研究して、普通の人の生活を本当に変えているのか?」
という疑問が消えなかったという。
そこに大きな衝撃を与えたのがOpenAIだった。
実は彼は大のDota 2好き。
2019年、OpenAI FiveがDota 2で世界トップクラスのプロゲーマーを破るのを見て、OpenAIを本格的に追いかけ始める。
そしてGPT-3。
AIが「顔を認識する」「囲碁を打つ」という特定の仕事だけではなく、言葉を理解し、さまざまな仕事をする汎用技術になり得ることを見せた。
さらにCLIPを見て、
言語、画像、そして将来は音声や映像まで、ひとつのAIで理解できるのではないか
と考えるようになる。
ここから現在のMiniMaxにつながっていく。
2022年、上海でMiniMaxを創業。
Alibaba、Tencent、miHoYoなども出資し、2026年1月に香港市場へ上場。
創業からわずか4年で、現在の時価総額は約2兆2,000億円。
閆俊傑自身も会社の約22.65%、約5,000億円相当を保有している。
ところが今年7月、
「AGI(汎用人工知能)を実現するまで、会社から給料を受け取らない」
と宣言。
さらに自分の持株から、会社全体の5%相当、現在価値で約1,100億円分!!を提供するという。
4%を長期的に貢献する社員へ。
1%をAIのオープンソース・コミュニティへ。
本人は自分を天才とは思っていない。
むしろインタビューでは、自分を「二流の研究者」と評する。
普段は穏やかで人の話をよく聞く一方、投資家からは中国語で「狠人」とも呼ばれる。
日本語なら、
「静かだけど、腹を決めたら全部賭ける人」
という感じだろうか。
そして、そのMiniMaxが開発した最新動画生成AIが「H3」。
文章、写真、動画、声をまとめて理解し、
脚本 → キャラクター → 演技 → セリフ → 音楽 → 映像
までをひとつのAIでつなごうとしている。
最大2K、15秒、ステレオ音声付き。
しかもオープンソース。
自分のマシンでローカル実行すれば、クラウドAPIのトークン課金に頼らず使える。もちろんGPUや電力などの計算コストは必要だ。
そして、機を見るに敏なのがApple!
新型Mac Studioは、
M5 Ultra/80コアGPU/256GBメモリ/8TB SSDで253万3,800円。さらに最大512GBメモリにも対応する。
もはや「机の上のAI工場」だ。
河南省の小さな街で、年収約670万円のJavaエンジニアを夢見ていた青年が、巨大なGPUクラスターに出会い、従来のAIの方向性に疑問を持ち、OpenAIに衝撃を受け、36歳で約2.2兆円のAI企業を率いている。
そして今、AIそのものがクラウドから僕たちのデスクに降りてこようとしている。
これは動画生成AIだけの話じゃない。
映画、広告、ゲーム、音楽―
コンテンツ制作の仕組み大変化する!!
コンテンツ制作の仕組みそのものが変わり始めている。





