Speedy NEWS

Speedy Group : 2020 Review & Perspective

2021年。今年も振り返りの日がやってきた。
過去にやったことより、それが来年どうなるのかを考えてみたい。
今年は、1月2日の沖縄の地元である新原コミュニティの「拝所巡り」(19ヶ所)の礼拝から始まった。
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2月には、ストリートアーティストMr.Brainwashの巡回展が、昨年の大阪に引き続き 渋谷PARCOでも開催され、コロナ禍にもかかわらず多数の皆さんにお越しいただいた。
11月には、ロサンゼルスのSpeedy GalleryでDebora Guettaの展示を開始し、オープニングでは桃井かおりさんやジェームズ・フランコなど300人以上の来客があり大成功だった。
同月 日本に戻り、これからが期待されるアーティスト彌永ゆり子の展示を小規模ながら開催し、新しいアートの可能性について世に問えた。
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2021年は、日本で現代アートが市民権を得た最初の年になったと思う。3月のSBIオークションで馴染みのLyやロッカクアヤコに高値がつき、続く4月のアートフェア東京でも中国人や欧米のコレクターがいない会場で、日本のITエグゼクティブたちが猛烈にアートを購入する様を見て、日本の現代アートも投資対象としてのポジションを得たと実感した。実際、世界的にも現代アートは不動産より利回りが良い商品になっている。コロナ禍の金余りが背景にあるとはいえ、アートが需要を生み出したことは大きな出来事と言えるだろう。
Speedy Gallery L.A.は、プライマリーギャラリーの運営者として、まだ誰も知らないエマージングアーティストをどんどん発掘し世界中に紹介していくつもりだ。
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3月にBEEPLEのデジタル作品がクリスティーズで高額落札され、仮想通貨は新しい局面を迎えた。Speedy Euroでもデミアン・ハーストやスティーブ・アオキ、原神一のNFTアートを販売しており、好調に売れている。
NFTは、Web3.0への新しい導火線であり、来年以降もトークンエコノミー(DeFi=分散型金融, DAO=分散自律型組織など)は広がっていくだろう。FacebookがMETAと社名を変え、メタバースが話題になっているが、私の予測ではWeb3.0化していない(中央集権的な)メタバースは、セカンドライフのように急速に萎んでいくのではないか。一方でウォレット経由のトークン世界となったWeb3.0は、急速に発展していく。スタートアップの資金調達、クラウドファンディングなどCeFi(中央集権型金融)と同様の機能を有するようになる。
Speedy NFTsは、有名アーティストのNFT作品だけではなく、コミュニティ価値をうむ新しいタイプのNFT作品をいくつか仕掛けているので、乞うご期待!
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私にとって、インスピレーションの源になっているのは”のん”の存在である。日本のエンタメが急速に孤立化しシュリンクしていくのに反して、”のん”はアジアでのグローバルな展開やアートや音楽での多彩な活動が功を奏して、ついには自身で監督・脚本・主演を務めた劇場映画「RIBBON」まで作り上げた。エンタメも他の業種同様プロフェッショナルだけが生き残る。”のん”はそれを証明し続けている。
ここ数年間、韓国のエンタメが世界から脚光を浴びている。その傾向は来年も続くだろう。映画「パラサイト」に始まったブームはNetflix「イカゲーム」で最高潮に達した。ドラマ「愛の不時着」も「イカゲーム」もStudio Dragonが制作している。その親会社はCJ ENMであり、その株式も保有している。芸能の世界もDXが進んだところは発展する。
Netflixによってハリウッド一強体制が崩れようとしている時にアジアの仲間が活躍しているは大変誇らしい。日本はいつまでも港区村に固執しないでもっと全力で世界に出ていくべきである。それはハリウッドにいく、ということを意味しない。ローカルを深めることでグローバルに辿り着けるのだ。”のん”という一タレントが、軽やかに劇映画を作り上海国際映画祭に出品できた、ということもその一歩なのだと思う。グローバル展開に対応できるエージェント、マルチプルに資金を集める力。それこそが韓国に追いつくために必要な素養と言える。それをスピーディ社はもっと磨きをかけて挑んでいくつもりだ。
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Speedy Farmを3月はじめて、沖縄中心に1ヘクタールの農地を開墾した。プラントハンターの西畠清順をアドバイザーとして、日本で稀少な植物や長寿に適した農作物の植え込みを行った。「星の王子さま」に出てくるスーピーフードのバオバブの木、アイスクリームのようなテイストのブルーバナナなど来年の初収穫が待たれる。
農業を通じて、食の未来について多くの学びがあった。沖縄は肥沃な土地と安い土地代、人件費が魅力ではあるが、地球の未来を考えるとアーバンファーミングやAIやゲノム編集を使った培養肉の可能性も追求すべきと思う。大豆ベースのBeyond Meet社と培養肉開発のMotif Food Works社を傘下に持つGinko Bioworksの株式を保有している。
来年は、世界のアグリテックをたくさん視察し、その可能性についてより具体的なプロジェクトを発足させる。
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今年は、坂井直樹さんとの共著「スイスイ生きるコロナ時代」を上梓させてもらった。アフターコロナ時代の新しい潮流を示し、企業のDXを後押しすることが目的だ。今後、より多くの出版物を発行するため73年の歴史を箱る高陵社書店を買収した。社会の行く末をいち早く掴みアップデートし続けるために、このような文化活動や企業のコンサルは続けていきたいと思う。
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また、オウンドメディアである「Talked.jp」では10人の方々と語り合うことができた。
・伊藤 東凌 (禅僧、両足院 副住職)
・堤伸輔 (編集者、コメンテーター)
・リーナ・リー(女優、モデル)
・鷹鳥屋明 (日本人サラリーマン)
・緒方憲太郎 (Voicy 代表取締役 CEO)
・秋元里奈 (「食べチョク」代表)
・守谷 実 (新規事業家)
・中田 考 (イスラーム法学者)
・コミンズ・リオ(株式会社 SEAMES 代表)
・白河桃子(ジャーナリスト・作家)
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一人の人間のできることなど、たがが知れている、と思わない。一人が周りの人間の共鳴を得ながら台風のように大きな力となる。
沖縄での小さな祈りから始まった2021年は、来年もみんなのエネルギーを結集させながら進んでいけたらいいと思う。
福田 淳