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イラン攻撃を世界地図で考える

今月、ドバイに行く予定がある。行くの難しいだろうな。
ご承知のとおり、アメリカとイスラエルがイランを攻撃したことにより、イランが近隣アメリカ施設だけでなく、アラブ諸国全般へも攻撃を開始し、泥沼となっている。そこにはイランのしたたかな戦略がある。
オイル関連施設への攻撃で、産油国の減産を招き、世界のエネルギー価格を「不安定化」させる。また、ドバイなど世界の富裕層が集まり、観光立国として栄えてきた国を攻撃することで中東のアメリカ不信を助長させる狙いがある。
この紛争で亡くなられた民間人の方々を思うと、改めて戦争を忌避できない人間の統治能力とは何かと考えざるを得ない。

ことの発端は複雑だが、本事案だけを考えると、イランによる核開発を懸念していたアメリカが、イスラエルの諜報機関と組んで、長年イランを独裁してきたハメネイ氏を殺害し、それはやめさせるための攻撃である。
問題は二つ。
一つは、核拡散を防ぐ。世界195カ国(含パレスチナ)のうち、国際条約で認められた(1967年までに核実験した)5カ国と、それ以降に強引に作っちゃった国家(インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)の4カ国。これにイランが加わることを米国とイスラエルは恐れた。和平交渉の途中で突然始めた戦争(国連安保理の承認なし、他国主権の侵害、 米国内で議会宣戦布告なし)の責任は大きい。スペインなど、きちんとこの戦争の正当性の無さを世界に説いていて立派である。
もう一つは宗教対立の激化。イランがこのまま核開発していけば、中東各国(サウジアラビア、エジプトなど)の核開発が始まり世界の危険地帯になる恐れも懸念されるが、一番大きいのは、イスラエルが敵対するガザ地区(パレスチナ)へイランが軍事協力を強めることを恐れたものと考えられる。イランとパレスチナの共通点は、大きな意味ではイスラム教国家で、シーア派とスンニ派と派閥は違うが、イスラエル(ユダヤ教)に対する敵愾心では利害は同じなのである。
つまり、米国による今回のイラン攻撃は、イスラエルを中心としたユダヤ教徒とイラン、パレスチナが支持するイスラム教徒の代理戦争なのである。米国では、権力の国幹にある富を掌握する金融をユダヤ人に握られている。(エプスタインもユダヤ人)トランプ的にはユダヤ教徒とキリスト教徒を取り込めば地位は安泰。経済的には、ユダヤ人脈が権力の源泉となっている。集票としてはキリスト教徒が中心となる。

さて、こんな背景からイラン攻撃を読み解くと、このまま放置していてもイランの核開発は2035年までは難しいとされていたので、10年は和平交渉は続けられた。そして、そのプロセスこそが民主的で正しい。反論する人は「核の怖さを知らないのか?」というかもしれないが、日本は、すでにお隣の気のふれた国が核保有国で、毎月のように無造作にロケットを砲弾してきている事実がある。核保有は恐ろしいことだが、使いそうになるとアメリカなど大国にやっつけられるから、その刀は抜かない。そういう緊張関係が「冷えた平和」をキープしているとも言える。前述の核保有国の顔ぶれを見直してほしい。荒っぽい国家がばっかり。だから、その脅威はイランが持ったとて同じことなのである。イランの核保有を容認するのではなく、持たせないプロセスを踏んでいる最中の奇襲だった。民間人を含む多くの死者を出す紛争を世界的なコンセンサスなく行うことを是認すれば、中国だって、ロシアだって、同じことできるという視座を与えてしまうし、その方がはるかに大戦リスクを増えるのだ。

一見、爽快でカッコ良いように見えるAI動画のようなアメリカ空軍の映像も私には虚しく見える。
私は出来るだけ世界地図的に物事を考えるようにしたいと思っている。絶対的な悪などない。世界を俯瞰し、相対的な平和を維持するためにどうしたら良いかを知的に考えるべきなのである。
無謀な一地域の核開発を断念させるために、ロシアや中国の覇権を助長しかねない大義なき紛争を仕掛けたアメリカの責任は思い。世界の不安定化が、より多くの民間の死者をうむ。イランがなぜアメリカ施設もないようなドバイ、アブダビを中心としたUAEにこの5日間でミサイル812発、ドローン攻撃194回もするのか。それも世界不安定化作戦の一環なのである。
ペルシャ湾も封鎖、中東の空路も封鎖。ロシア、ウクライナ紛争により、アジアとヨーロッパ便はロシアを避け迂回を余儀なくされてきたが、今度は中東のハブであるドバイ空港が機能不全となっている。完全にイランの戦略が成功している。

現地にいる日本人の中東専門家によれば、日本や欧米で報道されるほどアメリカ優位ではない、という。つまり長期戦ということだ。
現在、イランのへなちょこ片道攻撃ドローンのコストが1機3万5000ドル(約550万円)、対する米国の長距離巡航ミサイル「トマホーク」なら1発で200万ドル(約3億円)。米国はウクライナ支援でも爆弾の在庫を減らしており、長期戦に備えメーカーへの製造増加を促しているが、足りなくなるのは確実だ。イランは、現在2,000個くらい片道攻撃ドローンを使用したが、残り数万発持っている。つまり、イランの方が圧倒的に戦力は低いが、ペルシャ人の叡智は古代アケメネス朝から高度な国家運営を行っていたり、数学の基礎を作るほどの知力を持っているので、より巧妙(無関係な周辺国を巻き込むなど)な手口を考えて、世界を不安定化させる。米国へのテロの可能性も排除できないだろう。そのような俯瞰した視座を持つと、今回のイラン攻撃が世界の利害に一致していると思えない。
不安定化が生み出す経済損失と、長期戦になった時の米国内景気の損失は計り知れない。戦費だけでも1000億ドル(約15兆7000億円)近くに達する可能性もあり、さらに間接的なエネルギーコスト上昇による経済ダメージを含めると、米経済損失33兆円規模になるという予測も出ている。これが強い貿易、同盟関係にある日本に影響しないわけがない。

このイラン攻撃で世界が得られる経済価値はほぼ無いと思う。
一刻も早く、関係者が同じテーブルにつき、今後の話し合いを持つべきである。民主主義を選んだからには、長い話し合いが必要なのである。それが必要ないというなら、独裁国家を歩めば良い。それで平和を維持している国だってある。平和の模索に必要な主義を国民が選択できれば良いと思うが、今回のイラン攻撃がうみだす憎しみの分量は世界平和発展と程遠いことは間違いない。
あまり時事的なことは書かないが、米国優位的な投稿をいくつか見かけたので考えて書いてみた。(ここで書いたことは単なる自分の考えなので、コメント欄での討議はしないつもり)

追伸: イスラエルのネタニヤフ首相は現在も贈収賄、背任、詐欺などの容疑で裁判が進んでいる。あまり知られてないが、イスラエルは、ユダヤ人が約70%、アラブ人(主にパレスチナ系)が20%いる。1950年は10%くらいが倍になっている。パレスチナ人は家族を大切にし、子沢山なのである。つまり、イスラエルは国内問題も抱えているわけなのである。
https://forbesjapan.com/articles/detail/9

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