現代アートとオークションの歴史 : われわれはアートの値段を知っていても価値を知らない…
われわれは、アートの値段を知っていても価値を知らない…
コロナによる世界的な金余りがアートの資産性を高めている。
先日、クリスティーズが初のNFTアートを75億円で落札したのに続き、サザビーズも匿名のデジタルアーティスト”Pak”と共同で開催したNFTセール「The Fungible Collection」が、3日間でマーケットプレイス「Nifty Gateway」にて総額18億円(1680万ドル)の売上高を記録した。
こうしたオークションハウスが、現代アートを扱い始めた歴史は、そんなに長くない。
いまから、約50年前の1973年にタクシー 会社のオーナーだったロバート・スカルが「スカル・オークション 」を開催したのがアートオークションの始まりである。
「アートを購入するということは、アートへの関与です。それは刺激的なことなのです。もちろんIBMの株を持つことも関与ですけどね。」と述べている。
当時、アーティストからはアートを物のように扱うな!と非難もあった。アートはギャラリーかミュージアムで見るものだったからである。
美術史家のバーバラ・ローズは、当時のことを「存命のアーティストの作品に高値がつき、『安く買って、高く売れば儲かる』と皆がはじめて気づいた」と指摘する。
物故者(亡くなったアーティスト)作品は、数に限りがあるため消費者(コレクター、投資家?)の需要に応えられない。しかし、現代アートならいくらでも新作を作ることができる、という風に一部のアート業界の人は考えたのだ。
物の価値は、需要を作ること。その需要を供給側が満たせないと値段はあがるが、アートに関しては、その需要が価値と連動するとは限らない。
そんなことを考えさせられる映画を下記に紹介しておく。
◆ 映画『アートのお値段』(The Price of Everything)監督ナサニエル・カーン
U-NEXTで視聴できる!
* 写真は、渋谷PARCO内「OIL GALLERY」(美術手帖)でやっている品川亮(RyoShinagawa)の「LANDSCAPE」(2021.4.1 -19) 明日まで。お見逃しなく。