Talked対談【 伝説のプロモーターが読み解く「エンタメの未来2031」】(後編) 米ワシントン州立大学レスター・スミス栄誉教授兼財団理事、金沢工業大学虎ノ門大学院教授兼コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長 北谷 賢司 x ブランドコンサルタント 福田 淳
北谷先生との対談の後編です。
世界のエンタメを知り尽くした先生の日本のエンタメへの具体的なダメ出しから、ソニーがいかにハリウッドと向き合ったのかなどの秘話まで飽きない内容です。ぜひ、テキストかYouTubeでご覧ください。
また、北谷一先生の新刊「エンタメの未来2031』(日経BP)も必読です。
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Talked対談【 伝説のプロモーターが読み解く「エンタメの未来2031」】(後編)
米ワシントン州立大学レスター・スミス栄誉教授兼財団理事、金沢工業大学虎ノ門大学院教授兼コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長 北谷 賢司 x
ブランドコンサルタント 福田 淳
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北谷「日本の場合、テクノロジーはすごく進んでいるんですよ。でも、ハードではなくソフトの部分、製作の手法の部分が、テレビが豊かになった30年から40年の間に全部希釈されてしまった。日本映画の基礎を作った名監督が把握していた作り方、撮り方が受け継がれていない。だから撮影は撮影監督のカメラマンに、編集は編集者に任してしまっている。監督と呼ばれる人は、たしかに現場にはいますけれど、ほとんどの人は俳優に演技指導をしているだけ。それって本当に監督なの?ということなんです。(中略)
自分でいろいろなアングルを紙に書いて、頭の中で「次のフレーミングはこうしよう」「背景はこうだ」「カメラの振りは右から左だ」など、全部決めているわけです。そういった監督は基本的に、ズームを使わない。日本と海外作品の大きな違いのひとつは、日本のカメラマンはすぐに、ダリーイングとも言う、ズームを使う点です。大切な基本は、ズームよりもトラッキングを使うこと。「アーキングを使う」と言うんですけど、カメラのペダストル(台座)そのものが動いて役者に寄ったり離れたりする。これが基本です。ハリウッドの作品ではほとんど、撮影にズームは使用していないですよ。(中略)
Netflixのオリジナル作品は、コマーシャルの寸前のところで、クリフハンガー(盛り上がり)を作る必要はありません。だから脚本にも深みがある。けれど日本のテレビ製作はどうしても、CMの前に何かを盛り上げなきゃいけない。英語で言うところの「チョッピ―感覚」で、何か切り刻まれたものを感じる作品になる。10分から15分ごとにCMを意識しすぎて、要は作りすぎるわけですよね。一方でNetflixオリジナルは1話完結シリーズでもテレビを想定して作っていないから、内容が非常に濃いし、安心して観ていられる。
そういうところから学びなおしていかないかぎり、日本はやはり、グローバルマーケットに戻れないという危機感を感じますね。」
北村勝利 き、中島 謙一郎