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必読「非カリスマ経営」(著者: 宗方 謙)

わたしの経営者としての成分は、二人の経営者からできている。この二人との出会いがなければ、いまの自分はないと断言できる。そして、私は生涯でボスとして仕えた社長はこの二人しかいない。

一人は植村伴次郎さん(東北新社 創業者)、もう一人は宗方謙さん(元 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 社長)である。20代、30代の自分に大きな影響を与えた。

このたび宗方謙さんが『非カリスマ経営』という自身の半生を描いた本を上梓された。「アニマックス」立ち上げ時の苦しくも楽しい日々のことが活写されている。私にとっては貴重な日々の裏話も懐かしかったが、本書はそれに留まらない。スタートアップ(起業)を志すビジネスマンへの独特なリーダーシップ論が豊富でグローバルな経験に基づいて描かれている。

宗方さんとの出会いは、1998年1月13日、ウェスティンホテルの会議室だった。32歳の私は無職だった。そして、宗方さんは38歳(!)。これから始まるJskyB(のちにスカイパーフェクTVと経営統合)の中でのソニーの戦略、宗方謙さんの構想に胸を弾ませた。

非常に切迫したタイムラインの中で、入社から3ヶ月後に開局が迫る「アニマックス」「AXN」の準備で毎日が戦争のような状況だったが、笑いが絶えない楽しい環境だったと記憶する。それは、本書に描かれている宗方流経営手法(チームの力を最大限引き出すマジック)の賜物だったと改めて認識できた。(詳しくは本書を読んでみてください)宗方さんの「非カリスマ」経営の面目躍如である。

私の20代は、一代で起業し強烈なカリスマ性を持った植村伴次郎さんの薫陶を受けて過ごした。30代で大企業出身でグローバルな経営センスを持った宗方謙さんと出会ったことで、180度違う経営スタイルを学ばせてもらった。この大きな振れ幅のおかげで、いまの自分がある。

現在も多くの経営判断を迫られる中で「宗方さんだったら、どういう風に考えるだろう?」と思うことがある。経営者にとって、いかに良質の経営手法を知っていて、実践できるかが大事だと痛感している。こんな素晴らしい先輩経営者と共に過すことができ、自分はラッキーだった。その経営コンセプトをダイレクトに伝授している本書は、これからスタートアップを考えているビジネスマンに必見の書となるだろう。

「非カリスマ経営」(著者: 宗方謙)
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