Speedy NEWS

日本のエンタメの未来は、テック系スタートアップとの融合にある。

エンタメの未来について考える機会が多い。
世界中でメディアブロデュースをしてきたので、世界の感覚をアップーデートしてもらえる機会が多い。
今朝、モントリオールのパートナーと話していて、ラスベガスのショーの70%以上がケベック人(フランス系カナダ人 = Québécois)によって支えられていると聞いた。面白い。シルク・ド・ソレイユがその代表だろう。
日本のエンタメ(ショー、アートなど)は、鎖国していた江戸時代から一貫して内需(経済圏が国内にとどまる)のみで運営されてきた。戦後の経済発展による人口増と同時にテレビ、雑誌が普及。20世紀にはエンタメマーケット規模は最大化した。ソニーがアメリカの象徴であるハリウッドスタジオを買収したことも時代を表す。
さて21世紀となり、ネット時代が到来すると、日本のエンタメは凋落の一途を辿る。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアのDX化は遅れに遅れ。ゼネレーションZから見放され、衰退していってる。
その間に人口が日本の半分にも満たない韓国では、もともと内需に頼れないため海外志向で切磋琢磨してきた。2013年の「冬のソナタ」の時は、まだ日本をターゲットにしていたが、今では、「パラサイト」のアカデミー作品賞受賞に端を発し、Netflix「イカゲーム」の世界的ヒット。BTSなど音楽の世界では普通にグラミー賞にノミネートされるまでのグローバル感覚を身につけるようになった。
一方コロナパンデミックが起き、中国のエンタメは、政府の極端な政策(ゼロコロナ)により世界でも勢いをなくしている。テンセントやアリババは、もはやハリウッド映画のスポンサーではない。ただ、中国は日本の10倍以上の人口を擁することから内需志向でも十分マーケットがある。
さて、日本のエンタメが目指すべき方向性はなにか?
徹底したグローバル志向だろう。かつてファッションは世界を席巻した。イッセイミヤケ、コムデギャルソン、ヨージヤマモト、高田賢三が成し遂げた偉業は日本ブランドを高めた。音楽分野においてもYMOや、近年では歌謡ポップスをベースとした「シティポップ」が人気を博している。「シティポップ」の仕掛け人ナイトテンポが韓国人であることに注目してほしい。今後の日本のエンタメシーンは、このような多国籍のコラボレーションを前提とする。自分たちの文化は自分たちで見つけにくい。
もちろん元気な分野もある。日本のアニメは翻訳せずともYouTubeを通じて、台湾やタイ、ドイツ、フランスなどで絶大な人気を誇る。近年、村上隆や奈良美智など世界に通じる現代アーティストも台頭してきた。
こうした日本初のグローバルな展開をもっとアクセレートさせるためには、自分のような世界中でエンタメを仕掛けられる人材を増やさないといけない。
そのためには、何が必要か。
「よそ者の血」である。島国である国境を超えた交流。それは外資をいれることだ。守るために開かなければならない。過去にはテレビ朝日をニューズのルパード・マードックが買収しようとして国を上げて阻止された。テレビメディアは20世紀程の影響力は無くなっている。いまこそ、「よそ者の血」をいれるべきである。
テレビ局を開国することで、コンテンツの仕組みが大きく変わるはずだ。そして、そのためには、メルカリのような日本初のスタートアップが多くの外国資本によって運営された方がいい。円安だしね!日本のスタートアップは、観光やクールジャパンの次に日本の柱になると思っている。かつて、ライブドアや楽天のテレビ局買収の失敗は、歴史の教訓になるだろう。次世代の日本のスタートアップ企業が、日本のメディア構造を変えると思う。
一つの例として、既存のメディアが弱るなか、日本の現代アートはかつてないほど活況を呈している。友だちのLYやロッカクアヤコなどは、オークションを通じてここ数年で20倍くらいの経済価値が上昇し、海外でも注目されている。それらを支えるのは日本のテック系アートコレクターである。
コロナによる空前の金余りで、不動産や株よりも現代アートが重要な資産ポートフォリオとなりつつある。欧米のリッチ層では当たり前の投資が日本でも定着すれば、Netflixのようなオンライン向けのコンテンツ投資や音楽投資にもちゃんとファンドマネージャーをつけた投資商品として世界に流通するだろう。
日本の素晴らしいコンテンツは、日本のスタートアップを通じたテック系マネーにより再興の狼煙を上げることが出来ると信じている。
私は、偶然 エンタメとテックの両方の業界を熟知している。
だから、わかる。