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FIREを達成するために犠牲になる「お金」の使い道

最近、厚切りジェイソンが達成してブームになっている「FIRE」をご存知だろうか。

「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の略で、早くお金を貯めて利息生活者となり、リタイヤ生活ができることを指す。
理論上、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという理屈。
年間の支出が200万なら、5千万円の資産を築いて年利4%で運用していけば「FIRE」となる。
私は、このブームが日本人の貯蓄性向をますます高めてしまうのではないかと危惧している。40代くらいまでに5千万円貯めるテクニックあればもっと上を目指せる気もするし、5千万円貯めるために、数十円安い食材を求めて2キロも離れたスーパーマーケットに行くなんて気が知れない。
そして、そういう貯金が趣味みたいな人は、溜まったお金をどの段階で使う気なのだろう?
元気なうちは元金に手をつけられないから、90歳まで生きるとして、その25年前から元金手をつけても良いことになる。と言うことは65歳からか。生活を引っ詰めていた人が65歳を転機に元金に手をつけるのは相当勇気もいると思うが、それ以上に「お金を使うには、ものすごいクリエイティブな能力がいる」って事実を見逃していると思う。
よく経営者の人と会うと挨拶のように「儲かってまっか」と関西ノリで聞いてしまう。儲かっている社長さんには次の質問をする。「儲かったお金を何に使ってますか?」と聞くと、大抵の社長さんは「次の事業投資に充てる」いやいや、それは仕事であって遊びや趣味の支出ではない。
世界の金融資産の国別ランキングで日本はアメリカに次いで二番目に多く、同時に死亡時の貯蓄が一番多いのも上位である。さらに、相続税が55%と世界一高い。(因みにアメリカは40%)
つまり、働きアリは一生懸命お金を貯めて生きている間は自分の遊びに使わず、死後は税金を納める。
….む、虚しい。
本来「お金」は、ストック(固定)されるものではなく、フロー(流動)させるものである。
だから、経営者から遊びの「お金」を使うテクニックを磨いてほしい。関西では「他人にお金を使うと、巡り巡って戻ってくる」と言われてきた。金遣いの上手い人は、またお金を儲けることができる。「お金」は、フローしたいのだ。
さて、お金の使い方である。自分の欲望をいかに満足させるかが勝負である。先日ある経営者が会社をバイアウトし、まとまったお金を得たときの話を聞いた。徹底的に自分磨きに使ったという。良いねぇ、そういう使い方。家、服、車、なんでも好きに使ったら良い。世の社長さんたちが、たくさんお金を使ったら世間の景気も良くなり、みんなにも恩恵があると思う。それが基本的な経済の仕組みである。
マイクロソフトのビル・ゲイツが30代前半で大富豪に上り詰めたとき、「お金」の使い方がわからずロック・フェラーに教えを乞うたという。それくらい「お金」を使うのは技がいるのだ。どの富豪にも言えるのは、自分の欲望を満たせば、次に必ず他人の欲望を満たすために活動を開始するということだ。つまり、人助けである。人助けが自分の最高の欲望を満たすということなのだろう。
偉くなって人の優位に立とうとしたり、怒ってばっかりの人の心の中は、欲求不満の状態だろうと思う。人に優しくすること。親切に振る舞うことこそが自己の欲望を満たす最大の贅沢という訳なのだ。誰でも「お金」がある方がいい。だが、脳科学専門の細田千尋先生によれば、「幸福度のピークは年収660万円」3千万稼いでも幸せになれないらしい。
何のために稼ぎ続けるのか?の意味を考えてみよう。