Taled対談【中国テックビジネスのスペシャリストに聞くAI アナログの最適解とは?】(前編) NPO一般社団法人深セン市越境EC協会日本支部代表理事 成嶋 祐介 x 起業家 福田 淳
Taled対談【中国テックビジネスのスペシャリストに聞くAI アナログの最適解とは?】(前編)
NPO一般社団法人深セン市越境EC協会日本支部代表理事 成嶋 祐介 x
起業家 福田 淳
http://talked.jp/161/
↓このエピソードだけで、いかにテックが世の中のビジネスの方向を変えることができるかわかります。
成嶋「私が行った(中国の)中華料理屋さんでは、テーブルでご飯を頼むと、QRコードをスマホで読んでメニューで注文するんですけど、サーブするパートのおばちゃんみたいな人もそれを読んでいるんですよ。そうすると、私と、このテーブルサーブをしている人が紐づく。お互い、違うアプリを使ってQRコードを読んでいるんです。それで注文するじゃないですか。そうするとそのおばちゃんが全部、受けているんですよ。それで、注文を持ってくるとき、よくシェフもやってきて「今日の料理はどうですか?」と聞いてきたりするじゃないですか。同じようにおばちゃんも聞いてくるんですよ。「これどう?」とか。で、結構しつこく聞いてきて、「どれが一番おいしい?」「ちょっと頑張ったほうがいいのはどれ?」「これはまた食べたいと思う?」みたいな。
さらに頼んでいないお茶とか持ってきて「どう?」とまた聞いてくるんですよ。で、知らない料理も2品ぐらい出てきて、「これ好きって言っていたから、こっちも好きだと思って」「ほかのお客さんが頼んだから、大目に作ってもらって持ってきた」って言うんですよ。ああ、ちょっとおもしろいなと思っていたら、「WeChat交換しましょ」と言われたので、交換して仲よくなったんですね。そしたらあとから教えてもらってわかったのは、私はその店は初めてだったので、新規アカウントなんですけど、「新規アカウントの客は平均でいくら頼むか」と、そこに利益が計算されていて、おばちゃんには利益ベースで賃金が出ているんですよ。売価は関係なくて利益ベースで。それで、例えば私が3回くらいその店に行っていると、1回目、2回目にいくら使って、何分滞在したかとかも、全部出ているんです。食べさせて、それが気に入ったり、過去の経験からどういう方法のほうが利益が上がるのかということを理解していて、そのステータスによってルールでいくらまでサービスしていいというのがあるんですね。で、それをベースとして自分たちで考えてやっていて、実際はパートだと思っていたおばちゃんは独立事業主だったんですよ。これすごくないですか。
(中略)
それが、裏側で行われているんですよ。それで、そのデータを見て、こうしたほうがいいでしょと、おばちゃんでも若い人でも、普通に社長と戦えるんです。「この場合は、こうだからこうしたほうがいいと思う」という感じで。
(中略)
あとおもしろかったのが、私がその店でお金を払うじゃないですか。でも、お金は一旦、このおばちゃんに行くんですよ。もしくはおばちゃんに払うんです。そうすると、このおばちゃんから会社に行くんです。さっきの注文と抱き合わせになって、ピュッって飛んで行くんですね。で、そこからその場で、おばちゃんに取り分がフィードバックされているんですよ。それが一回一回できているんですけど、そのときに大事なことは、おばちゃんの賃金はお客である私からお金をもらっているんです。なので、お金をもらえる主は会社ではなく、お客様に向いているんですよね。 でも日本だと、おばちゃんは会社からお金をもらうので、会社に従うようになる。お客様を喜ばせて多く使うと賃金が増えるけれど、会社を喜ばしても賃金は増えないことを直感的に理解させる。そこの紐づけもすごいなと。」