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DTLA(ロサンゼルスのダウンタウン)の中心が廃墟となってる。

DTLA(ロサンゼルスのダウンタウン)の中心が廃墟となってる。
中国企業が巨大なタワープラザの建設を始めたが、2019年に資金が底をついた。
オーシャンワイド・タワープラザは現在、主にグラフィティ・アーティストに勝手に入られて落書きだらけとなっている。27階建て全ての階に落書きされている。今朝も不法侵入で逮捕者が出ている。
このタワーを完成させるのに20億ドル(3千億円!)かかると見積もっている。再建の目処はなく、壊す資金もなく、都会の真ん中に廃墟がずーと存在しているのだ。
これは、一見不幸が重なって起きた現象のように思えるが、そうではないと考えている。
私は一昨年「ストリート系都市2022」と言う本を書いた。タワマンが街の価値を下げる、と言う趣旨の本である。街は商店街や低層住宅などに価値がある。だから、商店街が高層タワーに吸収されると途端にそれぞれの店舗のブランド価値を無くし、同時に街の価値も無くす。ツーリストの行動を見ると明らかで、西新宿やミッドタウンに押し寄せる観光客はほぼ無く、新宿歌舞伎町や築地に人は魅力を感じる。一階を潰してはいけない。
先日、安宅和人さんが仰っていた話が興味深い。世界の人口は明らかに減少に向かっている。それも急激に。長い歴史を見ると、19〜20世紀の人口爆発がむしろ異常で、食の確保や医療の発展が長寿や子沢山に結びついたのだろう。21世紀からはインド、中国でも人口減少に転じる。それも凄い勢いで人口が減る。75億人が20-30億人まで一気に減る。その過程において、どう都市機能を維持するのかが重要な社会課題になるというのだ。電車やタワマンの都市機能(社会インフラ)の維持は人手不足で困難になる。すでに電車の減便や宅配の遅延はせざるを得ない。東京でも汐留の荒廃ぶりは、偶然ではない。
私は異次元の子育て政策にあまり意義を感じない。働き手を増やすのではなく、リタイヤしやすい社会に力点を置いたらどうだろう。(もちろん両方のアプローチも必要だが…)労働者数ベースでのGDPがトップクラスの日本は今後の人口減社会のロールモデルになれる可能性がある。だから、まずはタワマン規制を強化し、新規のタワマン開発に待ったをかけるべきだ。きっと、税金で廃墟と化したタワマンを潰すコストを貯めておかないといけない。ロスのこの建物たちが語るのは、都市の未来への教訓なのである。
ロボティクス、自動運転、ウォーカブル(歩ける)な街づくりを心がけることで、豊かな新しい都市文化を作れると思う。