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橘川幸夫 note 2022年8月4日 「ストリート系都市2022」 福田淳・著 | 株式会社スピーディ

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橘川幸夫 note 2022年8月4日 「ストリート系都市2022」 福田淳・著

 

私の新刊について、橘川幸夫さんが素敵なコラムを書いてくれました。橘川さんの「暇つぶしの時代」(2003年)から引用もさせてもらってます。ありがとうございます!

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橘川幸夫 note
2022年8月4日 18:44

「ストリート系都市2022」 福田淳・著
Amazonで発売中。(Kindleもあります)
https://www.amazon.co.jp/dp/4771110662/

1.メディアとしての都市
異常に暑い今年の夏、今日は雨が降って少し爽やか。しばらく冷房の効いた部屋でZoomを使った会議や相談ばかりしていたので、散歩がてら武蔵小山の駅方面に行き、上島珈琲でアイスコーヒー飲みながら、福田さんの新刊を読んだ。

「のん」ちゃんをはじめとするユニークタレントのマネジメント会社、電子書籍やデジタルコンテンツ会社、ロスでアートギャラリーを運営、沖縄でリゾート開発、大規模農場の開発など、なんでもありの福田さん。本業は企業コンサルだと思うが、僕らが知っている福田さんは、なんでも自分でやってしまう連続起業家だ。この本も、老舗の出版社を買収して作ったスピーディ出版から発行。これなら、プロ意識が高くて余計なことばかりやってしまう旧来の出版業界の方法にとらわれない、自由な出版が出来る。自費出版は普通にあるが、自分の書きたい本を出すために出版社まで立ち上げる人は少ない。まさに「自分出版社」である。なんでもやってみようの精神で実行して、どれも赤字にしないという経営手腕も半端ではない。

今回の本は都市論である。福田さんは、東北新社、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ソニーデジタルエンタテイメント創業など、メディアの世界を一貫して生きてきたので、メディアとしての都市となる。

福田さんがコロナの中で、東京の役割は終わったとばかりオフィスを撤収し、沖縄に拠点を移し、海で女の子と遊んでいる写真ばかりFacebookに流すので、「ああ、もう東京とは縁切りなのかな」と思っていたら、本の書き出しは「都市に戻れ!」とアジテーションしている。流石である(笑)

2.田舎と都市
私は都市で生まれ都市で育ったから、帰るべき田舎がない。親戚もいない。新潟生まれのかみさんに「田舎暮らしもよいなあ」と若い時につぶやいたら、「あんたには絶対田舎暮らしは無理」と言われた。

昔、高知市に行った時に、泊まるところも決めずに行って、田舎道をうろうろしていたら、地元のおばさんが話しかけてきて、「おお、そうかい、泊まるとこねえのか、だったら、あそこの旅館がいいから」と紹介してくれたは良いが、無理矢理、その旅館に連れていかれた(笑)。日本はどこにいっても、客人を歓迎してくれる。マレビトの文化だろうか。しかし、住むとなると別なんだろう。

田舎は確固たるコミュニティが成立してるから、瞬間的な来訪者は歓迎するが、移住してくる人に対しては排他的だと言われる。都市は、そういう封建的な田舎に疲れたり、可能性を見いだせなかった人たちが、集まって出来た人工的なコミュニティだ。よそよそしい個人が集まって出来た都市において、新しいコミュニティを作るというのはどういうことなのだろうか。それは単純で直線的な線上には出来ないのだろう。自然と人工はどのような融合するのだろうか。

若い時に、自然農法の福岡正信さんの本を読んで、一番感動したのは、自然農法のくだりではなく、「人間は田舎にいて都市を思い、都市にいて田舎を思う不思議な動物だ」というようなフレーズだった。

私たちは、田舎と都市を2つの重心とする、振り子運動をしているみたいなものだ。やがて、この振り子のスピードがあがり、一体化して止揚出来るのだろうか。そういうことを、この本を読みながら考えていた。

3.都市で発見するもの
福田さんがサラリーマン時代に、なんでも「お言葉を返すようですが」と言っていた。ある日、上司が「おまえは、もう、お言葉を返すな」と言われたというエピソードが最初にあって、笑った。僕は、福田さんの上司ではないが、長い付き合いの中でたくさん会話をしたが、たしかに、福田さんは、そういうところがある(笑)。

本書も、福田さんがたくさんの素晴らしい人たちと交流し、その会話の中で、福田さん自身が考えたことが書かれている。福田さんは、相手の考えや論理を、お言葉を返して、批評的に受け取る人なのだ。

福田さんは、対話の名人で、どんな人とでもどんなテーマでも話が出来て、いまも、忙しいのによく時間が作れるなと思うほど、たくさんの新しい出会いの中で対話をしている。

ただ個人的には、福田さんがしてきた対話で抜群に面白かったのは、まだ何者でもなかったシュガー(佐藤典雅)と、非生産的なおしゃべりを頻繁にやっていた時だ。あれは、今なら、すごいYouTuberコンピになったのではないか。

福田さんが、都市で発見出来るのは、無名の可能性と出会うことなんだろうな、と思ったりする。ストリートは、常に人が流動し、風景が変化する、ライブステージなんだと思う。

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https://note.com/metakit/n/n4bc86c0d4c75