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クリプトアート(NFTアート)が、現代アートをマネーゲームに変えた! | 株式会社スピーディ

Speedy NEWS

クリプトアート(NFTアート)が、現代アートをマネーゲームに変えた!

自分たちが知らないうちに歴史的瞬間に立ち会っていることがある。

1917年、マルセル・デュシャンという芸術家がニューヨークのアンデパンダン展という誰でも参加できる公募展に、単なる男性便器を「泉」というアート作品として展示し審査員から罵倒された。

それから約100年後の2004年12月、デュシャンの「泉」は、英国の美術界の専門家500人が選んだ20世紀で最も影響力のある作品に選ばれた。これが現代アートの発祥と言われている。

同じような歴史的事件が2021年3月11日に起きた。

映像アーティストのマイク・ウィンケルマンことビープル(Beeple=本名Mike Winkelmann)のデジタルアート作品「Everydays. The First 5000 Days」(エブリデイ:最初の5000日)が約75億円という高価格でクリスティーズのオークションで落札されたのだ。これは歴代3番目の高値。ちなみに、1位はジェフ・クーンズ、2はデビッド・ホックニー。

1766年に設立されたオークションハウスのクリスティーズが、「Everydays」のような純粋なデジタルアートを扱うのは初めてのことだ。本作品の10日に及ぶオンラインオークションの落札の瞬間をなんと2200万人以上が見ていた。

殆ど無名のアーティスト作品が、なぜこのような高値で取引されたのか解説しよう。

この作品は「クリプトアート」(NFTアートと呼ぶ人もいる)と呼ばれる新しい分野で、仮想通貨などにも使われているブロックチェーンの技術を使って、固有の価値を持たせたデジタルアートである。クリプトアートに、所有者情報などを記録したNFT(Non-fungible token = 代替不可能な貨幣)というものを紐付けることで、アナログ作品と同様に「一点もの」としての価値を持たせている。しかも、今後この作品が誰に転売されてもすべて履歴はデジタルで残り書き換えられない。

ブロックチェーンは仮想通貨を支える技術として世に出てきたが、その優れた仕組みは他の分野でも応用されており、「クリプトアート」もそのひとつ。「クリプトアート」に使われているのは暗号化通貨はイーサリアムというブロックチェーンである。
この作品の購入は、仮想通貨(イーサリアムというビットコインとは違う種類)で支払うことが条件。支払いは、クリスティーズへのデジタルウォレットに転送を介して行う必要がある。

さて、この作品「Everdays」はビープルが2007年5月1日から毎日1枚ずつ作り続けて14年間かけて、5,000枚になったものである。いままで「自分の作品に約10万円(969ドル)以上の価格をつけたことは一度もない」という。

◆毎日ひと作品を作り続けて10年、3,650個目の作品を公開 したときの2017年の記事。
http://www.cbc-net.com/posts/2017/05/02/beeple-3650/

しかし、この高値落札の1ヶ月前に予兆はあった。

2021年2月には、同じビーブルの作品「Crossroad」が、アートコレクターでありNFT投資家でもあるパブロ・ロドリゲス=フレイル(Pablo Rodriguez-Fraile)によって、購入から半年も経たないうちに、購入時の100倍近くの価格(7億円=660万ドル)で転売された。彼は、アートコミュニティでのビープルの評判に惹かれて同作品を購入したというが怪しいものだ。おそらくアート価値ではなく投資価値の情報を聞いたのだろう。あるいは彼らが首謀者かも!

この取引を仲介したのはクリスティーズではなく、NFT取引プラットフォーム「Nifty Gateway」なのである。「Crossroads」の販売には、作品が転売された際にアーティストが手数料を受け取れる仕組みになっている。Nifty Gatewayは10%のロイヤリティを設定しており、ロドリゲス=フレイルが「Crossroads」を転売したことで、ビープルは、7千万円程度の転売手数料が支払われたはずである。

さて、この「Everydays. The First 5000 Days」は誰が落札したのか?

昔ながらのアートコレクターではなく、シンガポール本拠の仮想通貨ファンド「Metapurse」だったのである。同ファンドの共同経営者のTwobadourと もう一人の匿名の投資家Metakovanが設立したもので、古くからの暗号資産の投資家だとされている。
https://www.metapurse.fund/

「Metapurse」は、3月11日に二人が別々の場所から協力して落札したという。彼らが入札を開始したのは終了時刻の5分前で、その頃に20億円(2000万ドル)未満だった価格は60億円(6000万ドル)以上に跳ね上がっていた。「この作品は将来、1000億円(10億ドル)の価値を持つようになる」とTwobadourは述べている。

今回のセールでは33人が競り合って入札し、そのうち新規ユーザーは91パーセントだった。年齢別に見ると、X世代(1965~1980)とミレニアル世代(1981~1996)のユーザーはそれぞれ33パーセントと58パーセントを占めた。つまり、オークション初参加が9割で、25-40歳までが6割!いままでのアートコレクターではないのだ。

ラトリエ(L’Atelier BNP Paribas)とnonfungible.comの2020年度のレポートによると、ビープルの作品のほとんどは、約1000万円(10万ドル)を優に超える価格で販売され、仮想通貨市場(デジタル トークン マーケット)を約270億円(2億5000万ドル)規模に押し上げたクリプトアートのブームを牽引している。

まとめ。

今回の落札は転売目的の新しいタイプのマネーゲームであり、株式市場では出来ない新興分野でルールが未整備な分野だからこそできた市場操作ともいえるだろう。普通のアートコレクターをこれを鵜呑みにして投機的な動きをすべきではない。最後の5分で20億円から60億円と3倍の価格にした仕手株のようなものだ。それを2200万人の人がオンライン視聴していたことで、人々の欲望を経済価値に変えた錬金術なのである。

アートの経済価値を長く保つためには、”クリエイティブの価値”が長く評価されなければ、いずれ大暴落するかもしれない。

ビープルがデュシャンになれることを祈る…

福田 淳

◆参考

NFTアートを作成し販売できるプラットフォーム

審査等がなく暗号資産ウォレットと仮想通貨イーサリアム(ビットコインでは買えないので注意)さえあれば、作品購入できると、転売できるし、自分の作品があれば発表できるプラットフォーム
「ラリブル」(Rarible)
https://rarible.com
「ゾラ」(Zora)
https://zora.co/

審査制で著名人や既存のアーティストなどの作品の取り扱い
「スーパーレア」(Super Rare)
https://superrare.co/
「ニフティー・ゲートウェイ 」(Nifty Gateway)
https://niftygateway.com/

アートNFTに限らず、ゲームアイテムNFTなども含めた多く取り扱う
「オープンシー(OpenSea)」
https://opensea.io/assets

◆クリプトアートを買うためには?

旧来のオークションハウスよりデジタルプラットフォームの方が作品が豊富にある。

例えば「ニフティ・ゲートウェイ」を見ると、本日は、イギリス人アーティストD*FACEの新作を発表するみたい。
因みに本作は53.6万ドル(5500万円)で販売済みである。
#repost @niftygateway
Instantly recognized as one of the UK’s most prolific Urban Contemporary artists, @dface_official has occupied the forefront of his practice since 2005.
His collection drops today starting at 1:30 PM EST
https://niftygateway.com/collections/dface

 

◆謎に包まれたビープルの作品を75億円で買った男
Metakovan, mystery buyer of Beeple’s $69.3 million NFT art, reveals identity
http://www.ecoti.in/G6qtpY

◆仕掛人 ‘Metakovan’ (メタコヴァン)ことビグネッシュ・サンダレサン(Vignesh Sundaresan)とは?
インド生まれの33歳。カナダのカールトン大学 (Carleton University)をでて、現在シンガポールをベースに仮想通貨に関するスタートアップ起業家をやっている。

Vignesh Sundaresan aka ‘Metakovan’ is a Singapore-based blockchain entrepreneur, coder and angel investor. He has announced a $500,000 fellowship for ‘crypto storytellers’ funded by his crypto investment firm, Metapurse.
https://vigneshsundaresan.com/

◆なぜメタコヴァンは、たった一枚のJPEGを75億円で買ったのか。
MetaKovan on Why He Spent $69 Million on a Jpeg
https://unchainedpodcast.com/metakovan-on-why-he-spent-69-million-on-a-jpeg/