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妙心寺 退蔵院にみる枯山水の時代

京都の禅寺 妙心寺「退蔵院」の松山大耕さんを訪ねた。
大耕さんは、すごいアイデアマン!
あめ玉で禅を体験する「ひと粒の禅」や宗教の垣根を超えたマラソン企画などユニークすぎる!(大耕さんのTEDや関連記事は下記参照)
さらに私が関心をもったのは、ここには画期的な枯山水の庭である。
枯山水とは、水を用いず石だけで地形を造形するデザインガーデンのことだ。大抵は、庭師が作るのだが、ここにある「元信の庭」は、室町時代の画家 狩野元信がつくった。やぶ椿、松、槇、もっこく、かなめもち など常緑樹のみを使用することで年中不変のデザインとなっている。つまり、庭がアートそのものなのである。
狩野元信が画家としてもっと も円熟した70歳近くの1546年頃の作品だそうだ。自分の描いた絵をもう一度立体的に表現しなおしたもので、彼の最後の作品が造園だったのが、珍しい作品のと言われる所以。
枯山水は、禅の宗教観を表すために鎌倉時代から室町時代にかけて確立したものだ。精神世界を表すミニマルな世界観は、戦国時代の死生観とあっていたのかもしれない。
ちなみに、歴史的にはこんな感じ。この庭は室町時代、豊臣秀吉の時代のものなのである。
室町時代 1336 – 1573年 (戦国時代)
豊臣秀吉 1536 – 1598年
そして今回見ることはできなかったが、ここには、日本最古の水墨画「瓢鮎図」(ひょうねんず)がある。画僧・如拙作の絵画作品で国宝に指定されている。
発案者は室町幕府の第四代将軍の足利義持(あしかがよしもち=1386-1428)で、瓢箪(ひょうたん)でナマズをおさえとることができるか」というテーマで描かれた。苦労して、物事を成し遂げる、ということを描いたという人もいるが、わたしは時の権力者がアーティストと知的なゲームを楽しんでいるようにしか見えない。こういうテーマに対して、アート表現をしていくことで文化は育つものだとおう。つまり、足利義持は優れたキュレーターというわけだ。
次に行く時は是非拝見させてもらいたいものだ。
* 写真は公式ウェブサイト、Wikimedia Commons、TED からの引用。
◆参照
京都 妙心寺 退蔵院公式ウェブサイト
Reasons for religion — a quest for inner peace | Daiko Matsuyama | TEDx
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