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第一作「スパイダーマン」の思想

 

辛辣な映画評が続く。ネタバレ注意!
最新の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を観た。
本作は古巣のソニー・ピクチャーズ エンタテインメント製作・配給の超大作で、かつソニーの四半期決算を最大化させた貢献作品でもあるので、敬意を持って観るつもりだった…のだが….
こんな酷い内容…仮面ライダー大集合みたいなノリ。過去のピーター・パーカー二人も登場する安易なメタバース演出。難しい問題はぜんぶ”ドラえもん”が解決してくれるパターンだ。
高校生に権力持たせちゃダメだな。責任が伴わない。ちゃんと分別ある大人の判断に従っていたら、こんなにたくさんの人たちが犠牲にならず、20分程度で済んだ話なのに….
第一作の「スパイダーマン」は、2001年に公開される予定だった。私は在職していたので当時のことをよく覚えている。911が勃発し、キービジュアルにワールドトレードセンタービルが映り込んでいたことや、アメリカが惨事で自信を失っていたこともあり、公開は2002年に延期となった。
それ以前にDCコミック原作の「バットマン」は存在していたものの、マーベルコミック原作では「スパイダーマン」は、早くに公開されたアメコミ映画化作品である。
監督に起用されたサム・ライミは「これを超人的なアメコミの映画化として作らない」と宣言し、マーケティングに於いても「ニューヨークで暮らす普通の高校生の話」として扱うよう徹底した。そして、そのコンセプトが人々の心にはまった。映画は大ヒットし、ソニーは万年ビリのスタジオから一躍トップの座を獲得したのだ。
最初の「スパイターマン」公開から20年の月日が経ち、サム・ライミが考えた素晴らしいコンセプトは既に存在しない。ひたすらフランチャイズ(二匹目のドジョウ)制作で生き延びているだけだ。スコセッシやスピルバーグが言うように「アメコミは映画ではない」と思う。
当時、ソニー・ピクチャーズのスタジオトップだったエイミー・パスカルは、いつの間にか天下って本作のプロデューサーを務め、自身の「A Pascal Studio」で制作している。
エイミーは、2014年に北朝鮮からサイバー攻撃を受け、自身の人種差別的なメールが暴露され、それにより引責辞任している。
◆ソニー米映画子会社のパスカル共同会長が辞任 (2015/02/05 )
それにしても権力者はめげない。その教訓だけは最新作からも伝わってくる。どうでもいい過去の話だが、エイミーがミーティングで多忙の間、お子さんの面倒を半日くらい見たことがある。やれやれ。
画像は、実際の2001年のアメコミで、スパイダーマンが瓦解したビルの前で立ちすくむシーンだ。コミックヒーローも現実の前では無力というわけだ。映画は、こういうリアリティを描いて欲しい。