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おれに関する噂だらけの時代

テレビのニュース・アナが、だしぬけにおれのことを喋りはじめた――「森下ツトムさんは今日、タイピストをお茶に誘いましたが、断られてしまいました」。新聞が、週刊誌が、おれの噂を書き立てる。なぜ、平凡なサラリーマンであるおれのことを、マスコミは騒ぎたてるのか?

これは1978年に書かれた筒井康隆の小説「おれに関する噂」のあらすじである。

あれから40年。これを笑えない状況になってるのかもしれない。

コロナになる芸能人をいちいち報道する意味がわからない。不倫を謝らせる社会正義がわからない。こんなどうでもいいことを見たがる視聴者のマインドがわからない。

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「おれに関する噂 」(新潮文庫) 筒井 康隆
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