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美味しいバーガーが人工肉だった!

1. 人工肉、初体験!

ロスの友人 リッキー・タキザワに誘われ、ダウンタウンにある「Es Todo」のバーガーを食べた。なんという美味しさ!胃もたれもなし!コレなんだ!?

オーナーのサルキス・ヴァータニアン(Sarkis Vartanian)が説明してくれた。
数年前、自身が初期の癌になり今後の人生を見直した。
そしたら、肉も魚も卵もない食生活がベストとわかり、それまで経営していたレストランを閉鎖し、最高の食材でバーガーを作り、それが美味しくて健康に良いもので出直そうという結論になった。それがこの店なのだ!

大豆やアボガド、食用オイルなどありとあらゆる食材を研究し作り上げたのがこの”インポッシブル・バーガー”(不可能バーガー!)なのだ。フレンチフライもマヨもケチャップもオリジナル以上の味で再現。

サルキスのようなグルメにとって、ヴィーガン向けにメニューを作ることに関心がない。美味しいものが、たまたま全部野菜でできているだけなのだ。
https://iloveestodo.com/

この驚くべき体験から3ヶ月後の2020年2月、再び友人たちと新メニューを味見させてもらった。もちろん、バーガーも鳥唐揚げ風もすべて大豆がベースとなって作られており、本物に似せるのではなく、あくまでオリジナルの美味しさなのだ。

日本でもアンテナショップ作ろう!と準備を進めていたところ、コロナが到来した。この続きは、アフターコロナに必ず実現させますよ!

さて、ここで話は少し横道に逸れる。

日本人が肉を食べ始めたのは、いまから150年ほど前の1882年、明治維新の政策により、「牛肉は健康長寿の元である」という条例が発令された。そこから全国区になったのだ。

それまでの江戸時代は、発酵学者の小泉武夫さんが言っているが、肉から得られるタンパク質は、主に大豆(味噌汁+豆腐+納豆+油揚げ)から摂取していた。
なので、牛肉が大豆ベースの代替え肉になったところで、江戸時代に戻ったにすぎないのだ。

◆参考
江戸時代のパワーフードが免疫力をあげる!
http://spdy.jp/news/s5352/

2. なぜ人工肉が必要なのか?(人工肉が開発されるつの背景)

・ 肥満による成人病の増加など健康問題
・ 人口増による食糧不足、食品ロス
・ 地球温暖化による環境問題

肥満から多くの現代病が生じ、ヒトはもっと健康にならないと、寿命も短くなるし、医療費負担も大きくなる。したがって、税金が無駄に投下され国力も落ちる。

環境に関して。畜肉に比べ、穀物の方が水の使用量を圧倒的に削減できるという観点から国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)の重要課題にもなっている。
牛肉の飼育は、とくに環境負荷が高く、牛は温室効果ガス(メタンガス)を大量に発生させる。畜牛が盛んなために、オーストラリアは温室効果ガスの排出国になっている。それって凄くない?
牛肉1kgを生産するのに必要な飼料は約11kg、必要な水は2万倍の2万リットル。これだけ牛肉は環境負荷が高い。豚肉も鶏肉も同様。
このため、欧米では食べる肉の量を減らす人、ベジタリアンやヴィーガンになる人が増えている。

3. このネーミングなんとかならんのか!

人工肉(Fake meat)は、代替肉(Meat alternative)細胞肉(Cell-based meat)植物肉(plant-based meat)など、いろんな呼び方があり過ぎる!

これってきっと新ジャンルのネーミングが必要!

欧米のレストランメニュー表には、ヴィーガン対象である [v] マーク表示されている。昨今は [pb] マーク(plant-basedのpb)がみられるところも増えている。

日本では「プラントミート」(植物肉)でどうだろう?細胞肉は、あまり流行らない気もする。

*この記事読んだ友達から、最近ロサンゼルスではベジ・ミート(Vege Meat)って表記されているそうだ。このネーミングがベストだなぁ。

4. 人工肉とは? (2種類ある。幹細胞ベースの細胞肉と大豆ベースの植物肉)

2013年、世界初の代替肉がオランダのマーストリヒト大学で誕生した。
製造方法は動物の筋肉から幹細胞を取り出し、培養液に浸して筋肉組織を作り、最終的に筋肉繊維を作るというものだ。
しかし、幹細胞で作られた代替肉は、味、食感および栄養価の面で、まだ研究開発の初期段階にあり、多くの技術的な問題が存在する。そのうえ、コストが高く、商品化まではまだ時間がかかる。

一方、技術的により簡単でコストも低い植物由来の代替肉の開発は、急速に進み、比較的成熟した産業チェーンが形成されている。今回、取り上げるのは、植物由来の人工肉の話に絞る。

こういうことを実現するのが「アグリテック」(Agriculture x Technology)「フードテック」と呼ばれる新分野である。
農業にITを組み合わせることで、食材のゲノムをいじって効率性をあげることで可能になる。人工肉マーケットは、ベンチャーや大手食品企業を中心に参入が増えている。

ネスレは2020年7月から、人工肉のパティ「ガーデングルメ センセーショナルバーガー」の販売を欧州で始めた。植物由来の成分を独自技術で発酵させるなどしてうまみを高めた。フランス当局が算出する5段階評価の栄養スコアで最高の「A」を獲得。

世界の人工肉マーケットは、2017年800億円から20年に1200億円となる。

5. まとめ

まず、みんな食べてみて!試してみて!
…でも、日本でも食べられないことはないが…
まだまだメニューが少なく、味のバリエーションもないなぁ。

◆参考
ロサンゼルス発、アメリカに24店舗を展開するハンバーガーレストラン『UMAMI BURGER』 (ウマミバーガー)
https://umamiburger.jp/

日本で購入できる植物肉(代替肉・人工肉)商品の販売状況を一覧まとめ
https://yoshikazu-komatsu.com/vegemeat-ja/

 

食生活が変わるだけ? “細胞肉” がもたらす未来の可能性
https://sellwell.jp/sellwelly/cellbasedmeat-futurepossibilities/

ネスレ、人工肉生産を世界3極で 健康志向追い風に:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62029020Z20C20A7TJ2000/

「食は時代と共に、人工肉も」日本ハム畑社長が描く未来:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64209800U0A920C2000000/

「肉は人工的に生産できる」 食肉の常識を変える世界のミートテック企業
https://forbesjapan.com/articles/detail/25565

「ミートレス」の破壊力 200兆円食肉市場を脅かす: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52666110X21C19A1000000/

 

↓2019年11月18日 ロサンゼルス Es Todoにて

↓ 2020年2月25日 ロサンゼル Mercado La Palomaにて