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歌舞伎のDXが東京の観光振興のキーとなる。 | 株式会社スピーディ

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歌舞伎のDXが東京の観光振興のキーとなる。

久しぶりに歌舞伎を観に行った。やはりリアルの舞台、役者の息遣い、絢爛たる衣装と素晴らしい太鼓や笛、自在に表現する舞台、どれをとっても日本が誇る最高峰のエンターテイメントである。
そして歌舞伎は、日本で最も付加価値の高い場所 銀座にあることで、世界的な観光の要としての役割を担う。つまり、ニューヨークにとってのブロードウェイと同じ立場と責任を持っているのである。ちなみに、2018-19年のブロードウェイ興行がニューヨーク市に寄与した金額は、公演と観光など周辺消費も含めて147億ドル(1.6兆円)にも達した。
なのに、日曜日に観た歌舞伎は老人ばかりの空席が目立つ閑古鳥状態だったのだ。これは松竹という私企業だけの問題ではない気がして、今後の改善点を思いつくまま列挙したいと思う。
まず、伝統歴史あるものは変化してはいけない、という関係者の思い込みを解き放つ必要がある。メルセデス・ベンツ社もルイ・ヴィトン社も歴史ある企業だが、変化(イノベーション)を恐れない。それどころか、新しい挑戦を続けている。変化することで伝統の遺伝子を守っているのだ。21世紀の世の中でデジタル化は避けて通れない。デジタル化を通じて産業が人がDX化していくことが大事なのだ。
まず、ブロードウェイのビジネスモデルを勉強し模すること。
そのブロードウェイでもコロナ前は新しいことに消極的だった。2016年、私がニューヨークを訪れ、ある大手制作会社へVRでのライブストーミングを提案したら一笑に付された。だが、コロナをきっかけに「ブロードウェイ・オン・デマンド」が開始された。今は収録メインだが、そのうちライブストリーミングも始まるだろう。
歌舞伎を主宰する松竹もスカパーで「歌舞伎チャンネル」を放映しているくらいだから、そのフィードを使ってストリーミング配信をやったらいい。なんならゲネを活用して、役者のアップを撮って舞台とは別の楽しみを開発することだって可能だ。よく観客が小型望遠鏡を持って客席から見ているのでニーズはあると思う。
また、コロナで停止されているが、日本公演されるブロードウェイ舞台のように英語字幕をつけたらこれから戻ってくる観光客に良いと思うし、日本語字幕もつければ若者への裾野を広げることもできる。
今回、第一部の後半に演った「石橋」などは、歌や踊りが華麗なので、TikTokで15秒に切り取って配信すれば、たちまち世界中にシェアされるだろう。SNSを活用したプロモーションは今や定番だ。2010年に私がプロデュースしたアート展示ではツイッターで自由に配信してもらい話題になった。その後、チームラボや森美術館でも定番になった。
いまどき、歌舞伎の最中にスマホも見れないなんて、時代をわかってない。もちろん演者への配慮があるだろうから、芝居はNGで歌舞伎舞踊はOKとか、どうだろう。観客がたちまちプロモーターになる。
チケッティングのオンライン化も急務だが、当日うっかり行けなかった人のためにハイブリットチケットも用意したいところだ。リアルでもオンラインでも楽しめる。見逃し配信で追加料金を支払うとダウンロード保存していつでも何度でも楽しめたって良い。
末席は、ダイナミックプライシングを導入し、公演が始まる20分前に余っている席は、半額にしたらいい。歌舞伎座のLINEファンコミュニティを作り、近所に通った人へビーコン機能を使って、ディスカウントのデジタルクーポンを配布するのはどうか。
お年寄りが孫を連れてきたら無料っていうのも試してみたい。無限にアイデアは湧いてくる。これくらいのこと、直ぐできることばかりだ。
素晴らしい歌舞伎の火を消さないためにも関係者は踏ん張ってほしい。