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Talked対談【 伝説のプロモーターが読み解く「エンタメの未来2031」】(前編) 米ワシントン州立大学レスター・スミス栄誉教授兼財団理事、金沢工業大学虎ノ門大学院教授兼コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長 北谷 賢司 x ブランドコンサルタント 福田 淳

北谷先生はソニー時代からのお付き合いで(大先輩!)、私がソニーを辞した時すぐに連絡を下さって、ご自身が教授をされている金沢工業大学虎ノ門大学院の客員教授に誘っていただいた恩人です。(社会の信用に役立つと推挙していただきました)
北谷先生は、かつてローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、U2、マドンナを日本に招聘し、興行の世界を近代化させたプロモーターで、エンタメ業界人脈は世界中に及びます。今回、業界人必読の書「エンタメの未来2031』(日経BP)を上梓されたのを機に対談していただきました。
たいへん刺激に満ちた本です。対談と合わせてぜひご覧くださいませ。
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Talked対談【 伝説のプロモーターが読み解く「エンタメの未来2031」】(前編)
米ワシントン州立大学レスター・スミス栄誉教授兼財団理事、金沢工業大学虎ノ門大学院教授兼コンテンツ&テクノロジー融合研究所所長 北谷 賢司 x ブランドコンサルタント 福田 淳
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北谷「(日本は)ビジネスとして、エンターテインメントが確立されていない、ということに尽きますね。日本は今まではお金だけは潤沢にありました。それは放送産業が豊かだったからです。免許事業で、完璧にプロテクトされていて、これだけの日本の市場があり人口もあり、広告宣伝費も潤沢に出た。だから、その中で全ては回っていたわけです。しかしこれから人口は減っていくし、それに比例して広告宣伝費も縮小してきます。
そんな中で放送産業は、今までは電波を牛耳っていれば独占性がありましたけれども、ブロードバンドがどんどん広がってきた今、視聴者はNetflixやamazonプライム、U-NEXTを観ます。そうすると、放送局のバリューが少なくなる。結局、今まで放送局頼みだった資本もシュリンクして、作品製作費の削減、減少につながる。日本のエンタメ産業はもはや、このネガティブスパイラルに入っていると感じています。(中略)
最終的には、やはり日本のシューティング(撮影)スタイル、編集のスタイルをもっとグローバル化していかなければなりません。日本産コンテンツが新しいブロードバンドプラットフォームを使って、長期に渡り世界中で伸びていくことは、現段階ではアニメーション以外は非常に難しいからです。
こうした現状の背景に何があるかというと、先述したように、日本はテレビ産業があまりにも豊か過ぎた。日本で作品を作って国内で回すだけで全部完結したわけですね。だから海外に作品を一生懸命売りに行く必要もそれほどなければ、それがないと産業が成り立たないこともなかった。日本のエンタメ産業、とくに映像ビジネスはガラパゴスで許されてきたんです。」
編集・構成:井尾 淳子
撮影:越間 有紀子
日程:2022年1月20日