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タワマンからストリート都市の時代へ

タワマンからストリート都市の時代へ
タワマンは、コミュニティを無くしアセットバリュー(資産価値)だけを追求する無味乾燥な街を作る。いくら館内にショッピングモールを作っても、そこに人肌は無く、夜になると人流を無くしてしまう。
久しぶりに原宿の裏通りを歩いた。素晴らしいギャラリーが出来ている反面、多くのアパレルショップが閉店を余儀なくされ、かつてこれほどの空きスペースを見たことがない。
古くからの商店と小さな新しいショップが混在する原宿の魅力は、ジェイン・ジェイコブズ(1960年代にマンハッタンの高層ビル化に反対した公民運動家)が言う”複雑な秩序”にある。人は目的を持たずに歩き回ることで自由を感じ、新しい出会いがつくられる。たくさんの偶然を作ることが文明の進化なのだろう。これからは、コミュニティバリューが生きる価値の指針となる。20世紀に建てられた多くのマンションが劣化し、高齢化し、スラム化した歴史を忘れてはならない。
寄り道、抜け道のない街は人との出会いも無くしてしまう。”人の行く裏に道あり花の山”なのである。
東京都が推進すべき都市計画は区画整理ではなく、安価な低層住宅と商店街をセットで作ることだ。築地跡地にアミューズメントパークやホテルはいらない。人が行き交う街を作るべきだ。電車で行く公園でコミュニティは生まれない。
原宿、秋葉原、神保町、高円寺、荻窪、自由が丘、麻布十番、このあたりの地区はロールモデルになるだろう。
建築家ル・コルビュジェが100年前に考えた「小さな家―1923」こそが求められる未来の姿かもしれない。
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ジェイン・ジェイコブズ NY都市計画革命より
都市の衰退を交通渋滞のせいや
移民や中流階級の気まぐれのせいにするのは簡単です
都市の衰退はもっと深刻で複雑なのです
問題は人々が自分の望みを知らず
都市の働きを知らないことなのです
無秩序に見える古い都市の下には
その古い都市が機能している場合
街路の治安と都市の自由を維持するための
素晴らしい秩序があります
それは複雑な秩序です
全てが動きと変化で構成されていて
暮らしであって芸術ではないけれど
都市の芸術形態と呼び
踊りと考えましょう
単調で精度の高い踊りではない
全員が一斉に足を上げて
そろって周りお辞儀をするのでもなく
複雑なバレエです
個々の踊り手やアンサンブルが別々のパートを担いつつ
奇跡のようにお互いを強め合い
秩序だった全体を構成するようなものです
「アメリカ大都市の死と生」ジェイン・ジェイコブズ著