「塩が、絵になる」~Rooted in the Cosmos~

もうひとり、紹介したいアーティストがいる。前田萌子(Moe Maeda)。
今回の「Rooted in the Cosmos」は、テホと前田萌子、二人の共通タイトルを掲げた展示だ。同じ会場で、一つのテーマのもとに、まったく異なる二つの世界を体験できる、またとない機会になる。
彼女の作品は、一つの言葉から始まる。
自分の内側に浮かんだ言葉を、まずキャンバスの板に書き留める。その言葉の意味を見つめ、そこから派生する想いを重ね、最初の文字を囲むように記していく。その上にチャクラを象徴する色を重ね、さらに塩を溶かした水を何層にも塗り重ねながら、時間をかけて結晶を育てていく。
完成した作品には、言葉のエネルギー、色の循環、そして塩の浄化の力が宿る。
彼女にとって塩は、ただの素材じゃない。
幼い頃から重いアトピーに苦しんできた前田は、海辺での暮らしで症状が和らいだ経験を持つ。その後、カナダ留学中に再びひどいアトピーを発症し、目も開けられないほどになった。それでも、母の勧めで塩浴を続けるうちに、少しずつ回復していった。
塩に救われた自分。その塩への感謝と、愛。
その体験こそが、いまの制作の原点になっている。
塩は古来、浄化の象徴として人の暮らしのなかにあった。前田はその塩を使って、目には見えないエネルギーや生命の循環を可視化しようとする。
作品の表面には、無数の結晶が息づいている。光を受けるたびに表情を変えるその輝きは、やっぱり写真では伝わらない。塩の凹凸、結晶のきらめき——実物を前にして初めて見えてくるものがある。
彼女の作品は、完成した瞬間に終わらない。
言葉と色と塩、そして自然の力で育まれた作品は、空間のなかで静かに呼吸を続ける。観るための作品であると同時に、その場所に新しいエネルギーをもたらす存在でもある。
一枚の絵の前に立ち、距離を変えながら、その結晶が放つ光を、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
最後に、ひとつだけお願いを。
今回はなにより「アートを観に来てほしい」というのが僕の願いです。ですので、当日、僕への挨拶や名刺交換は遠慮させてください。気を遣わせてしまうのが本意ではなく、その分の時間と気持ちを、ぜひ作品そのものに向けていただけたら嬉しいです。あくまでアートに本気で関心のある方に、ゆっくり体験してほしい──そんな場にしたいと思っています。
どうぞご理解のほど、よろしくお願いします。
なお、入場は無料です。ただし、レセプションパーティにご来場をご希望の方は、以上の趣旨をご理解いただいたうえで、事前に info@spdy.jp まで「参加」とメールをお送りください。
事前のご登録がない方のご入場はお断りしておりますので、あらかじめご了承ください。
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◆ Rooted in the Cosmos
前田萌子東京初個展
◆ レセプションパーティ
2026年7月17日(金)17:00〜20:00
作家本人も来場予定
会場:
Creative Space Akademeia 21 Harajuku
東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F
https://creativespace.akademeia21.ac.jp/access/
事前申し込み制: info@spdy.jp に、「お名前」と「参加希望」とご記載の上、メールをお送りください
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■Rooted in the Cosmos
・会期
2026年7月18日(土)~8月9日(日)
平日 …12時~19時
土日祝 …11時~19時
※火曜日休廊



