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コロナ考 : 人間は地球というエコシステムの支配者ではない

「地球表面を四分の三以上を覆う、その巨大なボリュームの中には、冒険があり、美があり、異質さがあり、驚きがある。のみならず、そこに住むほとんど無限に近い異様な生命体の豊富さたるや、いかなる異境の惑星も、右に出ることは困難であろう。かくてわたしは海を再発見することとなった。」(The View from Serendip)

これは、SF作家アーサー・C・クラークが、半世紀前の1967年に書いたコラムの一節。
宇宙に憧れるあまり、無重力を体験するためダイビングに凝っていた。
結局、彼は宇宙と同じくらい海底の魅力にも取り憑かれたのだ。

今週、海底に関する興味深い記事を見つけた。

アメリカ・アラバマ州の海底で、6万年前のイトスギという古木が発見される。その中に見つかった「フナクイムシ」という生物が、新薬開発に応用できるとのこと。
採取された「フナクイムシ」から未知の100種類の細菌株が見つかり、その中から12種類を選び出し、DNA配列の解析を行った。

その結果、これらの遺伝情報が、対寄生虫の治療薬や痛み止め、抗ガン剤、抗ウイルス剤といった新しい抗生物質の開発に応用可能と特定されたのだ。

海底で発見された「6万年前の木」に住む生物が新薬開発の鍵を握っていた

人間は凄いと思う反面、地球というエコシステムの支配者ではない。人間は自然の脅威に晒されながらも、必死で自然との共生を試みる謙虚な挑戦者であるべきなんだ。