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炎上後に著名人が果たすべきキャンセルカルチャーからの学びと社会の寛容の必要性

世の中で最近起きていることを「キャンセル・カルチャー」(Cancel Culture)という。
著名人など特定の対象の発言や行動を糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組やCMを中止させたりすることで、その対象を排除しようとする動きのこと。他者の過ちを徹底的に糾弾し、「あなたは用無し!」(You are cancelled)と言って相手を切り捨てる現象をいう。
メンタリストのホームレス不要論、ミュージシャンの障害者虐待、野球評論家の女性蔑視など、ここ1ヶ月だけでも多くの事例があり、用無し!のレベルがどんどんヒートアップしている。
確かにどれも酷い話なのだが、本当にそういうことで問題発言をした著名人をメディアから完全排除していいのだろうか?社会のみんなが、SNSという武器を持ったことで 容易く問題発言した人を排除できるようになった。皮肉なことに個人がメディア史上もっともモンスターになり得る社会になってしまったのだ。もちろんこの力で社会を良く変える(ソーシャルグッド)こともできるようになったのだけれど…
脳科学社の茂木 健一郎さんが自身のYouTubeで「発言を批判するのはよいけど人間まで否定しないで欲しい」と仰ってて本当に共鳴した。「その発言自体は許されてはいけない。それについては徹底的に批判していい」「ただ、その発言した人自体を排除したり、全面的に否定することは違うと感じています」と述べている。
わたしは、もっと人に寛容でありたいと思う。どこかで許す優しさが欲しい。生き辛い社会になって欲しくない。どうすればいいのだろうか?
問題発言した著名人の謝罪の在り方を考え直したほうが良いと思う。
いまは、謝っても謝っても謝っても社会は許してくれない。以前なら時が解決させてくれたが、近年の炎上は過去30年間くらいの発言が発掘され、晒され、切り取られ、編集され、極端に解釈される。だから、キャンセルされた著名人は半永久的に許しを得られない。著名人はメディアで発言することが仕事なので、一般人よりリスクが高い仕事と言える。それゆえに普通以上の倫理観を持たなければならないのだが、それにしても謝罪の効能がなさすぎる!
問題となったイシューに対して、書面で詫びるとか収益を寄付するという行為は、ほぼ意味がない。それどころか逆に「本当に反省してない」という追加炎上を呼ぶ。
問題発言した人は、その問題に対して無知か見識がないという状態と思う。まずホームレス問題、いじめ問題、ジェンダー不平等問題について専門家から勉強すべきだ。そして、自分の過ちが何だったのか改めて学び、そうすると、もしかしたら熱心に勉強すれば一般の人よりその分野に詳しくなるだろう。それを踏まえた著名人にしかできない活動を継続的に行うのだ。
そういう活動をエネルギッシュにやっている人を許さない社会など存在しない。問題発言は、問題をクローズアップさせ、そしていつか社会に還元できるようになればそれで良いのではないか。
◆参考
茂木健一郎さんのYouTube「発言を批判するのはよいけど人間まで否定しないで欲しい」
DaiGo氏の差別発言に関する見解と経緯、そして対応について(2021年8月16日)
NPO法人抱樸 理事長 奥田知志
https://www.houboku.net/news/20210816statement/